2つの銀河の間に見つかった中性水素ガスのかたまり

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【2013年5月10日 アメリカ国立電波天文台

アンドロメダ座大銀河M31とさんかく座の銀河M33の間に、大規模な中性水素ガスのかたまりが複数見つかった。これから銀河に取り込まれ、恒星の材料となるとみられる。


2つの銀河の間に見つかった水素ガスのかたまり

2つの銀河の間に見つかった水素ガスのかたまり(赤い囲み)。クリックで拡大(提供:Bill Saxton, NRAO/AUI/NSF)

M31とM33の位置

2つの渦巻銀河M31とM33の位置。5月中旬には明け方の北東の空に見える。クリックで拡大(「ステラナビゲータ」で作成)

アメリカ国立電波天文台(NRAO)のグリーンバンク望遠鏡(GBT)を用いた観測で、アンドロメダ座大銀河M31とさんかく座の銀河M33との間に大規模な中性水素ガスのかたまりが発見された。

M31とM33はいずれも美しい渦巻銀河で、天の川銀河から250万光年前後の距離にあり、お互いの距離も近い。2つの銀河間空間には中性水素ガスが存在するらしいことは以前からわかっていたが、GBTの高解像度観測で初めて詳細が明らかになったものだ。

昨年の予備観測からは、2つの銀河が数十億年前に接近した際の重力相互作用で引きずり出されたガスと思われていたが、細長い形状ではなく、それぞれが矮小銀河に匹敵するほど大質量の濃いかたまりであることから、銀河とは別個のものと考えられる。銀河間空間には見えない高温の電離ガスが広がっていると考えられ、中にひそむダークマターのフィラメントが芯のような役割を果たし、重力で集まったガスのかたまりができたようだ。

発表者のSpencer Wolfeさん(米ウェストバージニア大学)らは、こうした中性水素ガスが銀河に流れ込み、星を作る材料になるかもしれないとみている。

今回見つかったものは、まだほんの一部かもしれない。天の川銀河近傍での観測を重ねることで、さらに広い範囲でどれだけの水素ガスが存在するかを知る手がかりが得られるだろう。

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