原始星が放つフラッシュライト

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【2013年2月14日 ESA / Hubble/HubbleSite

ハッブル宇宙望遠鏡が、規則正しい周期で明るいバーストを起こす原始星をとらえた。


LRLL 54361のバーストの様子

ハッブル宇宙望遠鏡がとらえたLRLL 54361の変化(各画像の中央)。増光によって周りのガスも明るくなっていく。中央部には明るいガスを横切るように見える星周円盤も確認できる。動画からは「光のこだま」の様子も確認できる。クリックで拡大(提供:NASA, ESA, and J. Muzerolle (STScI))

「LRLL 54361」と呼ばれるこの天体は、ペルセウス座の方向約950光年の距離にある原始星で、25.34日の周期でバースト(瞬間的な爆発現象)を起こしている。これは従来観測されているわずか3例の中で、もっとも激しいものだ。

動画を見ると、原始星が明るくなった後しばらく経ってからその周りのガスが外側に向かって明るくなっていくことがわかる。これは「光のこだま」と呼ばれる現象で、光源から離れた場所にある塵まで光が届き、そこで反射した光が観測されることで発生する。つまり、外側からの光ほど遅れてやってくるわけだ。こうした「光のこだま」を伴った観測例は初めてである。

厚い塵の円盤と外層にはばまれているため、このようなバーストの原因はまだはっきりわかっていない。だが、新しく誕生した連星(重力で結びつきお互いに公転し合う2つの星)同士の周期的な相互作用によるものと考えられている。2つの星は周囲のガスや塵の円盤から物質を引き込んでおり、軌道上で2つの星が近づくと、物質が成長中の2つの星に向かってまるで投げ込まれるように大量に落ち込むためではないかという説明だ。

近接連星は天の川銀河内でもわずかしかなく、しかもこのような点滅光を発するのは星が生まれたばかりの頃の短い間なので、今回のような現象はとても貴重な観測例となっている。