パンスターズ彗星の増光ペースに翳り

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

【2013年2月6日 アストロアーツ】

3月10日に近日点を通過するパンスターズ彗星(C/2011 L4)の増光ペースに翳りが見えてきており、以前の予想ほど明るくならない可能性が高くなっている。予測が難しい彗星の動向を、「星ナビ」記事から紹介する。


本記事は、「星ナビ」2013年3月号「今月の視天」(執筆:吉田誠一さん)からの抜粋です。

パンスターズ彗星の今後の明るさ予想

パンスターズ彗星の今後の明るさ予想。クリックで拡大(作成:吉田誠一さん)

2013年1月半ば現在、パンスターズ彗星(C/2011 L4 PANSTARRS)は太陽から1.4au、地球から2.2auの距離まで近づいてきている(webニュース追記:2月6日時点では、太陽から0.9au、地球から1.5au)。

11月から12月まで太陽と合になって地上からは観測できなかった。だが、再び明け方の空に現れてきた12月23日に、約2か月ぶりにオーストラリアの観測者によってとらえられた。気になる明るさは9等級。2か月前に、11等級で西の空に沈んだ時と比べて、2等級ほど明るくなっていた。これは、ほぼ予報どおりで、順調に増光していることが確かめられた。このままいけば、3月には最大でマイナス1等級になる計算だった。

ただ、1月半ばになってもパンスターズ彗星の明るさは8等級の半ばに留まっている。計算上は、12月末に姿を現した後は日に日に明るさを増し、1月半ばには7等級になっているはずであった。ところが、約3週間にわたってまったく明るさが変わっていない。これは不安材料だ。1月半ば時点の最新の予報としては、残念ながら最大でも3等級どまりの可能性も出てきた。

過去、いくつもの彗星が「大彗星になる」と期待されながら途中で増光のペースが鈍り、期待はずれに終わっている。パンスターズ彗星も、ちょうど今、そのターニングポイントに差し掛かっている。

〈関連リンク〉

〈関連ニュース〉

〈関連製品・商品〉