アルマ望遠鏡、赤ちゃん星の周りに生命の構成要素を発見

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【2012年8月31日 アルマ望遠鏡

デンマークの研究チームがアルマ望遠鏡を用いて若い星を観測し、生命の構成要素である糖類分子を発見した。今後形成されるかもしれない惑星に取り込まれるような位置に存在しており、惑星形成と生命誕生の謎にせまる手がかりとなることが期待される。


WISEによる赤外線画像とグリコールアルデヒド分子のイメージイラスト

赤外線天文衛星「WISE」がとらえたへびつかい座ロー星付近。小さな四角中央の赤い天体が、糖類分子が見つかった恒星「IRAS 16293-2422」。クリックで拡大(提供:ESO/L. Calçada & NASA/JPL-Caltech/WISE Team)

ジェス・ジョーゲンセンさんを中心とするデンマークのニールス・ボーア研究所のチームが、へびつかい座の方向400光年かなたにある「IRAS 16293-2422」という若い恒星(太陽くらいの質量の星2つからなる連星)の周囲に糖類分子が存在することをつきとめた。

今回見つかったグリコールアルデヒド(C2H4O2)は糖類の中では最も単純な構造をした分子で、これから惑星が作られていくような若い星のまわりで発見されたのは初めてのことだ。中心の星からは、太陽〜天王星軌道ほどの距離(28億7000万km)のところ、まさにこれから惑星が作られていくような場所で見つかっている。

さらに、発見された分子が一方の星の重力に取り込まれつつあることがわかった。「これはつまり、単に惑星が作られる場所に糖類分子が見つかっただけでなく、その糖類分子が惑星に降り積もっていく可能性が十分にあるということを示しています」(同チームのセシル・ファブレさん)という。

ジョーゲンセンさんは「残る大きな疑問は、星の周りを回るガスが惑星に取り込まれてしまうまでに、どれくらい複雑な分子が作られるのか? ということです。このことは地球以外の惑星でどのように生命が作られるか、ということを考えるヒントになるでしょうし、この謎に迫るうえでアルマ望遠鏡の観測は欠かせないものになるでしょう」とコメントし、科学評価観測の段階ながらこれまで観測の難しかった波長の短い電波をとらえたアルマ望遠鏡の性能に大きな期待を寄せている。

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