探査機ドーン、小惑星ベスタを捉えた!

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【2011年5月13日 NASA

2007年に打ち上げられ、現在小惑星ベスタへの接近を始めている探査機「ドーン」がベスタを捉えた初画像を送ってきた。これによって探査機の位置情報を較正するとともに、8月から始まる科学探査の開始に向けて備えることになっている。


(探査機「ドーン」が捉えた小惑星ベスタの画像 1) (探査機「ドーン」が捉えた小惑星ベスタの画像 2)

探査機「ドーン」が捉えた小惑星ベスタ。1枚目は未処理の画像で、中央の明るいのがベスタだが、多くの太陽光を反射しているため、実際の大きさよりもかなり大きめに見えている。2枚目は背景の星が写るように加工した画像で、中央のマスクの中にある小さな天体がベスタの本当の大きさ。右上にあるのがそれを拡大したもの。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech/UCLA/MPS/DLR/IDA)

探査機「ドーン」は小惑星の探査を目的として2007年9月に打ち上げられ、2011年7月から1年間はベスタを、2015年には準惑星として分類されているケレスを観測する予定となっている。

ベスタは直径約530kmで小惑星の中では2番目に大きな天体であり、惑星の元になった微惑星の生き残りだと考えられている。ドーンは現在ベスタの周回軌道への投入に向けて最後の接近フェイズに入っているが、その際にベスタの画像が撮影された。

撮影時のベスタまでの距離は120万kmで、太陽光を多く反射するために実際のベスタの大きさよりもかなり大きい天体のように見えている(画像1枚目)。背景にある星の写真も撮ることで、カメラのテストだけでなくドーンが正確にベスタに近づけるような補正を行うことも、この画像を取得した目的となっている。

ドーンは順調に行けば7月16日にベスタを周回する軌道へと入り、8月上旬には高度2700kmのところから科学データの収集を始める予定となっている。その後、最近で高度200kmまで接近して1年間ベスタの観測を行った後、次なる目標の準惑星ケレスへと向かう。

ベスタとケレスは共に小惑星帯の天体の中では非常に大きなものであり、太陽系の形成から惑星の形成といった初期太陽系に関する重要な情報を持っていると考えられている。今後の探査でそれぞれの表面組成、地形、内部構造を調べたり互いに比較したりして、初期太陽系がどのようなものであったのか、その謎を解く鍵を手に入れることが期待されている。