モバイルプラネタリウムで東北に笑顔を 特別投影の実施報告

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【2011年5月9日 東京モバイルプラネタリウム

東日本大震災に伴う被災者・避難者を対象に、モバイルプラネタリウムの出張投影「星空の宅配便」®が4日間にわたり岩手と宮城の2箇所で行われた。


特別公演「星空の宅配便」開催報告
株式会社東京モバイルプラネタリウム 木村直人さん

弊社では、東日本大震災後に道路や電気の復旧が進みライフラインが確保されている場所なら文化的な支援もできるに違いないと考えました。そして被災者・避難者を対象とした無償公演を計画し、現地での協力者を募集しましたところ、3団体から協力が得られました。詳細な打ち合わせを経て5月4日〜8日に実施しましたので、ここに報告いたします。

《事業の目的》

家族や仲間の絆を深め、笑顔を取り戻してもらうことが目的です。具体的には星座早見盤の使い方を学び、プラネタリウムで星空のイメージを膨らませ、家族や仲間でいろいろな星を探してもらうことをお願いしました。この一連の流れで、新しいことを学ぶ楽しさや何処でも見える星空の美しさをみんなで知り、絆がいっそう深まることを期待しました。

《投影報告》

  • 5月4〜5日 フォレストパークあだたら(福島県)
    協力者:(財)ふくしまフォレスト・エコ・ライフ財団、安藤さん(郡山市ふれあい科学館)、天野さん、東前さん
    観覧者数:180名

    福島第一原発事故に伴う富岡町からの避難者が滞在されていました。プラネタリウムは救援物資の配布場所でもあるレクチャールームの一角に設置されました。エアドームが出来上がると、待ちきれない子どもたちがチラホラ集まってきます。番組を終えると「あーっ楽しかった、ありがとう」という笑顔に、少しは役に立てたようでスタッフも救われる思いです。初日に見た子どもから「夕べ、星を探したよ!」と嬉しい報告も来ました。

  • 5月6日 柏木平レイクリゾート(岩手県)
    協力者:遠野まごころネット

    こちらは避難者の方々が会場に移動するための車両の手配がつかなくなり、直前で中止になりました。日々の予定が前日に決まる厳しい環境の避難所も多数あるようです。

  • 5月7〜8日 みちのく伝創館、一迫老人センター、金成延年閣(宮城県)
    協力者:栗原市社会福祉協議会、遊佐徹さん(パレットおおさき)
    観覧者数:130名

    南三陸町からの避難者とデイサービスの老人の方が対象でした。やはり皆さんからは歓声が上がり、特に年配者からも輝くような笑顔が見られたのが忘れられません。後からスタッフの方に次のような感想が出たことを聞き、胸を熱くしました。「震災後、思えば下ばかり見て過ごしてきました。でも今日からは空も見上げてみようと思います」。

《謝辞》

誰でも見上げられる星空への興味は、年齢を問わず持っているものです。参加された方々の笑顔を見て、多少なりともそれを深めるきっかけ作りは成功したと思っております。何よりも、子どもたちの喜ぶ歓声が、大人たちへ大きな勇気を与えてくれることを改めて感じました。

この事業を実施するにあたり、協力者の方々、河北新報社栗原支局、月刊天文ガイド編集部、アストロアーツ社、ツイッターで情報宣伝や応援メッセージを送っていただいた皆さまに厚く御礼申し上げます。特にご自身も被災された遊佐さんと安藤さんらが弊社のヘルプに来てくださり、心より感謝いたします。アストロアーツ社から無償提供いただいたミニ星座早見工作キットが大活躍したことも併せて報告させていただきます。