ハッブル宇宙望遠鏡が復活

【2008年10月31日 NASA(1)(2)

ハッブル宇宙望遠鏡(HST)で発生していたシステムのトラブルが、10月25日ごろに復活した。直後に撮影された衝突銀河Arp 147の画像は、カメラも正常に動作していることを物語っている。一方、宇宙飛行士による修復ミッションは、来年4月以降になる見込みだ。


(Arp 147の画像)

HSTがとらえたArp 147。クリックで拡大(提供:NASA, ESA, and M. Livio (STScI))

HSTが10月27日と28日に衝突銀河Arp 147をとらえた。同望遠鏡では9月末に、データを送信するシステムにエラーが発生したが、この画像によって、接続が復活し、搭載されているカメラも正常に動作していることが確認された。

Arp 147は、くじら座の方向約4億4000万光年の距離に位置している。右側の青いリングは、左側の銀河に突き抜けられた銀河のなれの果てと考えられている。リングの左下に見える赤い部分は、元は銀河の核だったようだ。

2つの銀河の形は、数字の「1」と「0」のようだ。HSTの動作も10点満点といったところだろう。

さて一方で、当初10月14日に打ち上げが予定されていたハッブル修復ミッションは、打ち上げ直前の9月末、同望遠鏡に予期せぬトラブルが発生したために延期された(詳しくは、ニュース「ハッブル宇宙望遠鏡がデータ送信不能、修復ミッション延期へ」参照)。

その後、技術者らによる詳しい分析が行われた結果、2009年2月の打ち上げには準備が整わないことが明らかとなった。NASAの宇宙物理部門の責任者Jon Morse氏は、このことについて次のように話している。

「来年2月というのは、準備と試験に必要な最低限の時間を考慮した当初の見通しでした。今となっては、現実的なものとはいえません。スペースシャトル計画と綿密に打ち合わせをした上で、新たな打ち上げ日時を設定する予定です」