彗星発見で賞金ゲット、2008年エドガー・ウィルソン賞は中国の2名に決定

【2008年8月4日 IAUC 8962】

陳・高彗星(C/2008 C1 Chen-Gao)の発見者である中国のアマチュア2名が2008年のエドガー・ウィルソン賞に輝いた。デジタルカメラで新しい彗星を発見し、賞金を手にすることが夢ではないことを証明してくれている。


(高岡誠一氏撮影の陳・高彗星とホームズ彗星のランデブーの画像)

2008年3月下旬に接近した陳・高彗星とホームズ彗星。クリックするとギャラリーページへ移動
撮影者:高岡 誠一/その他のデータやコメントは陳・高彗星(C/2008 C1)ギャラリーを参照

2008年のエドガー・ウィルソン賞に中華人民共和国の2名が輝いた。受賞が決まったのは、2008年2月1日に発見された陳・高彗星(C/2008 C1 Chen-Gao)の発見者である江蘇省蘇州市の陳韜さん(Tao Chen)と、新彊ウイグル自治区ウルムチの高興さん(Xing Gao)。賞金の20000米ドルが受賞者数(今回は2名)に等しく配分され、記念の額が贈られる。20000米ドルは日本円に換算すると200万円以上に相当する。

エドガー・ウィルソン賞は、アメリカ・ケンタッキー州レキシントンのエドガー・ウィルソンさんの遺志によって定められた賞で、新しい彗星を発見しその彗星に名前がついたアマチュアを対象としている。受賞者の決定は、国際天文学連合(IAU)の国際電報中央局(CBAT)を通してスミソニアン天体物理観測所(SAO)が行っている。

近年、新しい彗星の多くは組織的なサーベイプロジェクトによって発見されているが、エドガー・ウィルソン賞はプロフェッショナルは対象外だ。少なくとも彗星発見目的に関してはアマチュアであること、そして個人の機材で発見したこと、という条件が付いている。陳・高彗星の発見で知られる新疆南山にある星明天文台は個人の天文台であり、発見機材はデジタル一眼レフカメラのCanon EOS 350D(日本名はEOS Kiss Digital N)。これにCanon EFレンズの200mm F2.8を装着し、Vixen GPD赤道義に搭載して新星を捜索していたところ、偶然に彗星を発見したという。

ちなみに、賞が制定された1998年から現在までの国別の受賞数(のべ受賞者数)はアメリカが1位。中国は日本に次ぐ4位に浮上してきた。陳・高彗星は、中国のアマチュアが発見した彗星としては2個めとなった。

順位国籍受賞数
1アメリカ10
2オーストラリア9※
3日本6
4中国3
5クロアチア2
ブラジル2
7オーストリア1
カナダ1
ドイツ1
ニュージーランド1

※オーストラリアのTerry Lovejoyさんは2007年に2つの新しい彗星を発見したが受賞は1回なので、彗星数で集計するとアメリカとオーストラリアはともに1位となる。

過去の日本人受賞者は、宇都宮章吾さん(2001年、2002年)、池谷薫さん(2002年)、村上茂樹さん(2002年)、工藤哲生さん(2003年)、藤川繁久さん(2003年)の5名だが、最近5年間、日本人は誰も受賞していない。賞金ゲットをめざして彗星探しに励んでみてはいかがだろうか。ただし機材は個人のもので。