超新星爆発の瞬間がとらえられた

【2008年5月23日 Goddard Space Flight Center

渦巻銀河NGC 2770で、超新星爆発がリアルタイムで観測された。過去100年間に数千個もの超新星が観測されてきたが、爆発の瞬間がとらえられたのは初めてのことである。


(銀河NGC 2770の可視光画像) (銀河NGC 2770のX線画像)

NGC 2770の可視光画像(1枚目)とX線画像(2枚目)。ともに左が超新星2008D爆発前、右が爆発後。クリックで拡大(提供:NASA/Swift Science Team/Stefan Immler)

米・プリンストン大学のAlicia Soderberg氏とEdo Berger氏は今年の1月に、NASAのガンマ線バースト(GRB)観測衛星スウィフトに搭載されているX線望遠鏡で、1か月ほど前に爆発した超新星2007uyを観測していた。超新星2007uyは、やまねこ座の方向約9000万光年の距離にある渦巻銀河NGC 2770に存在している。

まさにその観測の最中に、NGC 2770の別の場所でX線がとらえられた。ひじょうに強いそのX線放射は、5分ほど続いた。

観測されたX線バーストの重要性に気づいたSoderberg氏は、すぐに他の望遠鏡による観測を手配した。その後数週間、ハッブル宇宙望遠鏡(HST)やX線観測衛星チャンドラ、スウィフトなどによる観測が行われ、X線バーストは超新星爆発(超新星2008D)に伴うものであることが確認された。

典型的な超新星爆発は、燃料を使い切ってしまった大質量の星が自分の重みに耐えきれずに崩壊し、超高密度の天体である中性子星になる現象だ。

中性子星が形成されると、それまで収縮していた物質が跳ね返る。その衝撃波が恒星の外層をばらばらに吹き飛ばしてしまうと考えられている。約40年前から、この過程で数分間X線が放射されると考えられてきたが、実際に観測されたのは初めてのことだ。

Berger氏は、「X線で衝撃波を観測することは、星の最期の数分間を直接見ることなのです。同時に、他の研究者に目印を提供してくれるので、他の望遠鏡も即座に観測することができるのです」と話す。

また、NASAゴダード宇宙センターでスウィフト科学チームに所属するStefan Immler氏は、「これは、典型的な超新星のひとつです。爆発そのもの以上に、われわれがリアルタイムで爆発を観測できたことに意味があるのです。爆発のプロセスについて、前例のない情報がもたらされるのですから」と話している。