タカハシJP-Z赤道儀が生産終了
ビクセン一部製品の価格改定・新製品も

【2008年3月7日 アストロアーツ】

タカハシJP-Z赤道儀の生産が2月に終了した。天体撮影の信頼を支えてきたJP、NJPなどJシリーズ赤道儀の約30年の歴史に幕が下り、赤道儀の世代交代が進んでいる。

ビクセンは一部製品の価格改定と、製造・セット品出荷終了製品を公表した。

タカハシJシリーズ、30年の歴史に幕

TS式システム160mm反射赤道儀の写真

Jシリーズ赤道儀の原型ともいえる高橋製作所製「TS式システム160mm反射赤道儀」（高橋製作所のウェブサイトより）

JP、NJPといえば高橋製作所のロングセラー赤道儀であるが、そのJシリーズ赤道儀の最後のモデルであるJP-Z赤道儀が2008年2月をもって生産終了となった。JP-Zには、自動導入対応のモーターが付属した「JP-Z Temma2赤道儀」と、モーターの付属しない「JP-Z赤道儀」があるが、ともに在庫がなくなり次第、販売も終了となることが高橋製作所の公式ウェブサイト上で公表された。

Jシリーズ赤道儀の搭載重量は最大30kgとうたわれ、屈折の12cm級や反射の20cm級の鏡筒を搭載できる充分な強度をもち、高精度追尾のできる信頼性の高い赤道儀としてハイアマチュアに支持されてきた。また、赤経・赤緯の目盛環を備えていたり、手動でも使えるよう微動ハンドルが付属するなど、基本に忠実な赤道儀でもあった。Jシリーズ赤道儀の30年の歴史に幕が下りたわけだが、憧れの赤道儀として過去のモデルを懐かしく思い出す天文ファンも少なくないだろう。

「J」を名乗る初代モデルのTS160J赤道儀は、1977年に160F8鏡筒とともに発売された（当初のセットは「TS式システム160mm反射赤道儀」であった）。型名に160という数字が入っているのは、口径160mmのニュートン式反射鏡筒を標準鏡筒としていたためであるが、16cm用赤道儀としては十分すぎるほど頑強であり、その設計思想は今では伝統として語られる。1979年には、倍率11倍・口径40mmの極軸望遠鏡を組み込んで高精度据付け「ワンタッチ1分」を実現したTS160P赤道儀（JP）が発売され、車で移動する観測のニーズにも応えてきた。1988年に発売されたNJPでは、赤緯軸がバランスシャフト側まで貫通した構造となり、別売の軸直結型のロータリーエンコーダーによる赤経・赤緯のデジタル表示や、パソコンを接続しての天体の自動導入が可能になった。自動導入はやがて時代のニーズとなり、1996年には高速駆動に対応したNJP-NV赤道儀が発売され、その後は駆動システムを進化させる形で1998年にはNJP-Temma赤道儀、2000年にはNJP-TemmaPC赤道儀、2002年にはNJP-Temma2赤道儀がリリースされた。

最終形となった2007年発売のJP-Z赤道儀は、脚とバランスウェイトがEM-400Temma2赤道儀と共通の規格になっている。JP-Z赤道儀が過去のものとなった今、後継と位置付けられる赤道儀は2005年に登場したEM-400 Temma2赤道儀だ。赤緯ホイルが大きく強度はさらに上をいく。2軸モーターを内蔵した設計の新しい赤道儀であり、使いやすさもアップしている。高橋製作所は、JP-Z赤道儀の購入を検討していた方に対してはEM-400 Temma2赤道儀をすすめている。

ビクセンのラインナップに変化

ビクセンは2008年4月1日より一部製品の価格を改定すると発表した。値上げの対象製品にはVMC110L鏡筒およびセットのほか、Tリングなど、オプションパーツの一部が含まれる。原材料費等の高騰による昨今の長期大幅なコスト高のためやむを得ず値上げに至ったという。また、アクロマート採用の屈折式鏡筒A102Mなどが製造終了したことや、3月末にセット品としての出荷を終了する製品（VMC110Lの一部セット品など）があることも発表された。製造終了品として挙げられているものの中には、デジタルカメラアダプターDG-LV DX、50.8mm径接眼レンズのLV30mmとLV50mm、太陽投影板100と150など、オプションパーツの一部が含まれる。

新製品もある。天体望遠鏡関連では、A105M鏡筒や、それと赤道儀とのセット品3機種が4月1日発売予定とアナウンスされている。製品に関する詳細はビクセンのウェブサイトをご覧いただきたい。

なお、ビクセンは3月19日（水）〜22日（土）に東京ビッグサイトで開催される「フォトイメージングエキスポ（PIE）2008」にブースを構える企業のひとつであり、今春発売となる新製品をはじめとする天体望遠鏡、双眼鏡、フィールドスコープなどが多数展示される予定となっている。ビクセンの製品の購入を検討されている方は出かけてみるとよいだろう。

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