異例の短期間で1つの銀河に2つの超新星が観測された

【2007年7月9日 NASA Featured Image

今年の5月から6月の2週間の間に、銀河MCG +05-43-16において2つの超新星が観測された。1つの銀河において超新星爆発が起こる割合は25年から100年に1度であるため、このようなケースはひじょうに珍しい。


(銀河MCG +05-43-16に観測された2つの超新星の画像)

銀河MCG +05-43-16に観測された2つの超新星の画像。クリックで拡大(提供:NASA/Swift/S. Immler)

MCG +05-43-16は、ヘルクレス座の方向3億8000万光年の距離にある銀河だ。この銀河で、今年5月19日に初めて超新星2007ckが観測された。この銀河ではそれまで超新星が観測されたことはなかった。

超新星はいくつかの種類に分かれていて、2007ckはII型に分類される。II型の超新星とは、太陽質量の8倍以上の恒星が燃料を使い切った後、自分の重みを支えきれずに崩壊する現象だ。その際に強力な衝撃波が起こり、星はこなごなに吹き飛ばされてしまう。

続く6月4日に、MCG +05-43-16で2つ目の超新星2007coが観測された。2007coはIa型に分類される。Ia型超新星とは、白色矮星と普通の恒星からなる連星系で起こる爆発だ。白色矮星の表面に伴星からの物質が降り積もり、その量が一定に達すると核爆発が引き起こされる。8倍未満の質量の星が爆発したあとに残るのが、白色矮星だ。

NASA ゴダード宇宙センターのStefan Immler氏は、「多くの銀河では、25年から100年に1回の割合で超新星爆発が起こっています。それに比べると、16日というひじょうに短い間隔で2つの超新星が観測されたことは、まれなケースといえます」と話している。ちなみにImmler氏は、昨年銀河NGC 1316でも2つのIa型の超新星を観測したが、その際の間隔は6か月だった。

なお、2つの超新星2007ckと2007coは、同じ銀河内にあるとはいえ数万光年離れている。したがって、1つの銀河で2つの超新星が観測されるというまれなケースではあるが、MCG +05-43-16において何か特別な現象が起こっていることを示すものではない。