天の川銀河をとりまく巨大な3つのリング

【2007年6月18日 Spitzer Newsroom

天の川銀河に巨大な星の流れが3つ発見された。これらは、互いに衝突したり引き裂かれたりした銀河や星団の残骸と考えられている。もっとも近いものは地球から1万3000光年の距離に、もっとも遠いものは地球から13万光年の距離に存在しており、いずれも完全なリングとして銀河を取り巻いているようだ。


天の川銀河を取り巻く巨大な星の流れの想像図

天の川銀河を取り巻く巨大な星の流れの想像図。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech/R. Hurt (SSC))

カリフォルニア工科大学スピッツァーサイエンスセンターのCarl Grillmair氏は、スローン・デジタル・スカイサーベイ(SDSS)のデータを分析し、天の川銀河をとりまく3本の巨大な星の流れを発見した。SDSSでは、すでに全天の4分の1にあたる約7000万個の星の観測が行われている。

Grillmair氏は、SDSSで観測された球状星団に存在する星の1つ1つについて明るさや色を比較し、距離や年齢の星ごとにグループ分けを行った。グループの分布から浮かび上がったのが、巨大な星の流れだったのだ。発見された3つの流れのうち、2つは球状星団の残骸であることがほぼ確実視されている。天の川銀河には、現在約150個の球状星団が存在しているが、ずっと以前には数千ほどあったはずと考えられている。数十億年かけて、天の川銀河による重力で引き裂かれた球状星団の一部が、細長いリング状の星として現在も残っているというのだ。

また、残る1つについては、他の2つと比べるとかなり遠くにまで伸びている。どうやら矮小銀河の残骸が拡散したものと考えられている。同様の矮小銀河には1億個ほどの星とともに暗黒物質が含まれているはずだ。天の川銀河の周辺には、現在20個ほどの矮小銀河が見つかっている。銀河形成理論によれば、天の川銀河の周りを暗黒物質の塊が公転していて、その一つ一つが矮小銀河を伴うのにじゅうぶんな質量をもっていると考えられている。この理論から予測される矮小銀河の数は数百個となり、観測で確認されている個数と大きな食い違いを見せている。今回の発見でもっとも興味深いのは、これらの残骸の正体が、理論が予測している数百の矮小銀河のいずれかであるという可能性だ。

しかし、このような流れが矮小銀河や星団の崩壊によって形成されたとすれば、高速道路上の車のように、星が集中している領域と領域との間には一定の間隔があるはずだ。Grillmair氏は現在追加観測を計画中で、今回の発見が矮小銀河などの残骸と考えつつも慎重な姿勢はくずしておらず「これらの星をより詳細に観測し、果たして重力的に星と星とが結びついているかどうかを確認する必要があります」と話している。

発見された星の流れは、SDSSで観測できる領域を超えていることから、リング状に銀河を完全に取り巻いていると考えられている。天の川銀河の周りには、まだ未発見の巨大な星のリングが、まるで毛糸を丸めたように、数千個単位で幾重にも重なって存在しているのかもしれない。