天文学・宇宙科学の発展途上国支援
国際会議「基礎宇宙科学ワークショップおよび国際太陽系観測年2007」開催

【2007年6月12日 国立天文台 アストロ・トピックス(302)

国立天文台・三鷹キャンパスを会場に、2007年6月18日(月)〜22日(金)の期間、UN・ESA・NASA共同主催の国際会議「UN/ESA/NASA Workshop on Basic Space Science and the International Heliophysical Year 2007(基礎宇宙科学ワークショップおよび国際太陽系観測年2007)が開催されます。

本ワークショップは、1971年に設立された国連宇宙利用プログラム(UN Programme for Space Applications)活動の一環として、発展途上国における天文学、宇宙科学分野における研究および教育の振興を目的として、先進国と発展途上国の代表者が一堂に会して議論する場としてほぼ1年に1回開催されます。第1回目のワークショップは、1991年インドのバンガロールで開かれ、今回で15回目です。過去14回のうち、11回は発展途上国で開かれ、先進国での開催はドイツ、フランス、オーストリアについで4回目となります。

日本は、政府開発援助(ODA)の一部として、1986年度にプラネタリウムをミャンマーへ供与したことを皮切りに、発展途上国に対するODAでの天文機器供与を続けています。これらの供与された天文機器は、各国の天文宇宙科学分野での教育、研究の発展に大きく寄与しており、今回のワ−クショップは、その日本政府による功績を高く評価した結果として、特に日本での開催となりました。

また、国際地球観測年(1957-58年、IGY, International Geophysical Year)の50周年を記念して、グローバルな地上観測網の構築などを含む国際太陽系観測年(International Heliophysical Year)という国際研究プロジェクトが2007-2009年に実施されており、その活動に関する発表も行われます。

本ワークショップは、国際連合(UN)、欧州宇宙機関(ESA)、米国航空宇宙局(NASA)の共催によって実施され、基礎宇宙科学の振興と、太陽観測を中心とした研究成果の共有、発展途上国も含めた今後の宇宙科学発展に関しての会議で、アフリカやアジアの発展途上国をはじめ海外29か国より59名、日本からは38名の研究者が参加して実施されます。

また、このワークショップの初日には、国連宇宙局(UN Office of Outer Space Affairs)より、日本政府および、長年にわたり発展途上国の天文宇宙科学振興に力をつくされた、古在由秀(こざいよしひで、ぐんま天文台長、元国立天文台長)、小暮智一(こぐれともかず、京都大学名誉教授)、北村正利(きたむらまさとし、旧東京大学東京天文台名誉教授) の各氏に特別感謝状が贈呈されます。