ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた海王星の最新画像

【2005年9月28日 HubbleSite Newsdesk

ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した、海王星の新しい画像および連続写真から作られた動画が公開された。海王星自身の活発な大気活動だけでなく、周りを数個の衛星が回っている様子も見て取れる。

(ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた海王星の画像)

ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた海王星の画像。(右上は、色を強調したもの。右下は、メタンの分布が見えるフィルターによる画像)クリックで拡大(提供:NASA, ESA, E.Karkoschka(University of Arizona), and H.B. Hammel(Space Science Institute, Boulder, Colorado))

この画像は、2005年4月29日から30日海王星の自転に合わせ4〜5時間おきにハッブル宇宙望遠鏡が捉えたうちの一枚。使用されたのは、14種のカラーフィルターで、海王星の厚い大気を透かして様々な高度の雲の様子を観察することができる。左側の画像は、天然色(赤、緑、青の三色による画像を合成)で撮影された海王星。アマチュアの望遠鏡でも、海王星は水色をした小さな円盤に見える。海王星の大気に含まれるメタンガスが、太陽光線のうち赤い波長のほとんどを吸収するために、水色の光だけが我々の目に届くのだ。

一見のっぺりした海王星だが、色を強調すると特徴が見えてくる(右上)。右下の画像は、特殊なフィルターを使ったもので、人間の目では見ることのできない、メタンの分布を見ることができる。海王星をメタンの波長で見るととても暗く、長い露出が必要となる。その結果、海王星の衛星がとらえられる。左の合成画像に写っているのは、時計回りに一番上から、プロテウス(この中では最も明るい)、続いてラリッサ、デスピナ、ガラテア。なお海王星の衛星は、現在13個確認されている。

海王星は、巨大ガス惑星としては太陽系の一番外側に位置し、海王星上での一年(太陽のまわりを一周するまでの時間)は地球の165年にも相当する。一方海王星の一日は地球よりも短いが、大気の自転周期は場所によって異なる。極付近の大気は15時間で一周するのに対して、赤道付近は18時間以上かかるのだ。こうした海王星の自転と大気の変動の様子、そしてそれとともに海王星を巡る衛星の動きが見られる動画が、参照元にて公開されている。


海王星は、木星と土星と同様ガス惑星です。表面は美しい青色をしていますが、地球のように海が広がっているのではありません。海王星を包む大気にメタンが含まれており、それが赤い光を吸収するので、青く見えているのです。また、表面には、「大暗斑」と呼ばれる暗い大きな斑紋が見られ、大気中の大きな渦と考えられています。大暗斑のまわりには、白い雲がまとわりついていて、大気中のメタンが凍ったものと考えられています。(「太陽系ビジュアルブック」より一部抜粋)