ハッブル宇宙望遠鏡が明かす三裂星雲(M20)の中心部

【2004年6月16日 HubbleSite NewsCenter

NASAのハッブル宇宙望遠鏡によって、有名な散光星雲である三裂星雲に見られる3本の巨大なちりのレーンが捉えられた。

(三裂星雲(M20, NGC 6514)の画像)

ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた三裂星雲(M20, NGC 6514)。ジェットや原始惑星体、フィラメント構造なども鮮明に捉えられている。クリックで拡大(提供:NASA, ESA, and The Hubble Heritage Team (AURA/STScI))

三裂星雲はM20またはNGC 6514の名でもよく知られており、われわれから9000光年離れたいて座に存在する美しい星形成領域だ。公開された画像は、ハッブル宇宙望遠鏡が三裂星雲の中心部をクローズアップで撮影したもので、暗いちりの帯が見られる。また、まぶしく輝いている形成されたばかりの大質量星の姿も捉えられている。

右下の拡大画像で示されているのは、複雑なフィラメント構造だ。うすい青色は、この構造が酸素でできていることを表している。

また、原始惑星系円盤(原始惑星体)と呼ばれる天体も発見されている(中央下がその拡大画像)。これは、星形成の途上にある若い星の周りに広がるガスやちりのリングだ。このようなリングの存在する環境では、惑星が形成されると考えられている。

右上の拡大画像では、密度の濃い柱状の構造から、4分の3光年もの長さのジェットが伸びているようすが見られる。柱状の構造の中にはひじょうに若い星が隠れており、ジェットはこの星から放出されている。

ガスやちり、そして星間物質が相互作用を起こしているこの領域では、ちりやガスの雲と共に新しい星や古い星が同時に存在している。ハッブル宇宙望遠鏡による観測で、このような領域の詳細なようすが見事に捉えられ、たくさんの情報が得られたというわけだ。

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