VLTに搭載された中間赤外線機器VISIRがファーストライトに成功

【2004年5月27日 ESO Press Release

ヨーロッパ南天天文台のVLTに搭載されたVISIR(VLT Image and Spectrometer in the InfraRed)から、ファーストライトの成功を知らせる最新の画像が届けられた。

(VISIRが捉えた銀河系の中心領域の画像)

(VISIRが捉えたアリ星雲の画像)

VISIRの中間赤外線の目で捉えられた画像。(上)銀河系の中心領域、(下)アリ星雲(提供:ESO)

VISIRでは、中間赤外線のスペクトル領域(数マイクロメートルから数十マイクロメートルの波長領域)が観測可能だ。この波長では、星雲や銀河に含まれるガスだけでなく、摂氏マイナス200度からプラス300度のちりの粒子を検出することができる。

宇宙のちりは、彗星の尾から銀河の中心、星の誕生と最期の現場など、さまざまな環境に大量に存在している。これらを観測する場合、可視光はちりの粒子に吸収され遮られてしまうが、赤外線で観測すればちりの雲に隠された部分まで見ることができる。VISIRは、今後ユニークな宇宙の様子をわれわれに見せれくれることになるだろう。

赤外線での観測といえば、赤外線観測衛星スピッツァーが活躍中だ。宇宙空間からの観測は、地球の大気の影響を受けないという利点がある一方で、コストと技術的な理由から、望遠鏡の直径がせいぜい60cmから85cmと制限を受ける。そのため、直径8.2mのVLTと比較すると、解像度が10分の1ほどしか得られない。VISIRの高解像度と高いスペクトル分解能力には、広範囲の研究分野において期待が寄せられている。今後の活躍に注目したい。

<参照>

<関連リンク>