銀河衝突の際には、重力波キックでブラックホールがはじき出される

【2004年2月23日 R.I.T. News Story

銀河同士が衝突し、それぞれの中心にあるブラックホールも衝突するとき、巨大なブラックホールが誕生する一方で銀河の中心にあるブラックホールが重力波によって弾き出されてしまうという研究結果が、ロチェスター工科大学(R.I.T.)によって発表された。

理論によれば、銀河同士の吸収と合体の繰り返しで銀河が成長する際にブラックホール同士の連星系が形成され、最終的に2つのブラックホールは1つのブラックホールとなると考えられている。このブラックホール同士の合体は、アインシュタインが相対性理論によって予言した重力波によって引き起こされると考えられている。そして、その重力波の反動キックによって、ブラックホールが銀河の中心から弾き飛ばされてしまうというのだ。

われわれの天の川銀河と同規模の銀河の中心にも超巨大ブラックホールが存在することはわかっているが、小さな銀河では現在までのところブラックホールの存在は知られていない。これは、以前はブラックホールが存在していたが、その後重力波キックによって弾き出されてしまったのだろうということだ。

残念ながら、現在までこの重力波キックに関する観測の報告はないが、観測のターゲットとして合体直後の銀河を発見しさえすればよいことは明確なので、低い確率とはいえ、やがて中心からそれた位置にあり、銀河中心に移動しつつあるようなブラックホールの姿が観測される日がきても不思議ではないのだ。