串田さん、13個目の超新星を発見

【2004年1月21日 国立天文台・天文ニュース(696) / VSOLJニュース(120)】

(国立天文台・天文ニュース)

アマチュア天文家、山梨県八ケ岳南麓天文台の串田麗樹(くしだれいき)さんが、1月20日に、おとめ座の右足元近くにある、NGC 5668に超新星を発見しました。これは口径40センチメートルの反射望遠鏡発見です。洲本市の中野主一(なかのしゅいち)さんを通じて国際天文学連合へ報告され、超新星2004Gと名前が付けられました。

八ケ岳南麓天文台の串田嘉男(くしだよしお)さんが測定された位置は、

赤経  14時33分21.40秒
赤緯 +04度26分49.5 秒  (2000年分点)
NGC 5668周辺の星図(24KB)

で、銀河の中心から西へ43秒角、南へ12.5秒角ほどのところにあります。発見時の超新星の明るさは17.2等級の明るさでした。

今後、分光観測による超新星のタイプの決定や光度変化の追跡が待たれます。

この超新星は、独立発見を含めると、串田麗樹さんが発見した13個目のもので、2003年1月にNGC 4157銀河に出現したSN 2003J以来(天文ニュース (611))のことになります。

(VSOLJニュース)

山梨県の串田麗樹(くしだれいき)さんは、これまでに10個以上の超新星を発見されている捜索者です。彼女は、1月19.86日(世界時、以下同様)に撮影した画像から、17.2等の超新星2004Gを発見されました。自身、昨年の超新星2003Jの独立発見以来の発見です。

超新星が出現したのは、おとめ座の東端近くにある渦巻銀河NGC 5668で、超新星は、銀河の中心から西へ43秒角、南へ13秒角ほどのところで、円形の銀河円盤の端近くに重なっています。この銀河には輝点状の箇所(H II領域や巨大な星団)が多く、また前景の星もあるため、同定には注意が必要です。串田嘉男(くしだよしお)さんが測定された位置は、

赤経  14時33分21.40秒
赤緯 +04度26分49.5 秒  (2000年分点)

となっています。

この超新星は、発見の翌日の1月20.722日に、山形市の板垣公一(いたがきこういち)さんによって確認されました。その時の明るさは17.5等と報告されています。また、板垣さんが以前の画像を調べたところ、1月11.78日に撮影した画像でも16.8等で写っていることがわかりました。連携によって新天体の確認が迅速に行なわれるようになってきています。

NGC 5668では、これまで2例の超新星が出現しています。超新星1952Gは、過去の写真の調査から発見されたもの(17.9等)です。もうひとつの超新星1954Bは、I型(おそらくIa型=核爆発型)で、極大がB=12.8等と記録されています。これらから、今回の超新星2004Gは、極大を過ぎた重力崩壊型のものかと推測されますが、今後の分光観測が待たれます。

超新星の画像などは、D. Bishopさんの超新星page、http://www.rochesterastronomy.org/snimages/で近々公開されていきます。

(追記)1月21.2日にヨーロッパの複数の天文台で分光観測が行なわれ、串田さん発見の超新星2004Gは、爆発から5か月ほど経ったII型超新星であると判明しました。