高尾さん、へびつかい座に新星を発見

【2003年7月24日 国立天文台天文ニュース(660)

福岡県北九州市の高尾明(たかおあきら)さんがへびつかい座に新星を発見しました。

高尾さんは、7月10日と16日のCCD画像から、新星の可能性のある天体を発見し、日本変光星観測者連盟(VSOLJ)に報告しました。発見時の明るさは10日に11.4等、16日に11.2等と報告されています。

この天体はそれ以前に、ASAS-3自動望遠鏡でもとらえられており、6月15日から検出されはじめて11.0〜11.5等付近を変動し、6月26日に10.6等の極大等級を迎えたことが明らかになりました。

この天体はオーストラリアのV. Tabur(タイバー)さんも検出していましたが、変動がゆっくりであったので普通の変光星と思っていたようです。

愛知県の長谷田勝美(はせだかつみ)さん、チリのW. Liller(リラー)さんの撮影した写真にも記録されていたことが報告されています。

天体の詳細な位置は、南アフリカのB. Monard(モナード)さんによって以下のように測定されました。

 17時19分14.10秒
-27度22分35.4秒  (J2000.0)
新星周辺の星図(76KB)

その後、スペクトルが確認され、新星と認定されました(CBET 31)。この新星はへびつかい座新星2003(Nova Oph 2003)と呼ばれますが、更に固有のコードも与えられ、V2573 Oph = Nova Oph 2003となりました(CBET 35)。

CBET:
The Central Bureau hereby issues its first Electronic Telegram
緊急の天文情報を伝える一時的手段として天文電報中央局が発行する電子電報
ASAS-3:
"The All Sky Automated Survey"(ASAS; 全天自動捜索)の第3世代の装置で、ポーランドのワルシャワ大学などの研究チームによって、チリのラス・カンパナス天文台に設置されている。観測装置は最大でも口径20センチメートル強と小型だが、広角CCDカメラを含めた3台の機材によって、観測できる空全体で14等星ぐらいまでの約1000万個の星の変光を常時測定しようという野心的なシステム。観測結果は即時に解析され、インターネット上で誰でもデータを検索する形で発表されている。今後の変光星観測に大きな影響を与えることは間違いないく、世界的にも変光星観測の一大転換点となりつつある(出典:VSOLJニュース(103))。