ステファンの五つ子のレントゲン写真

【2003年5月13日 Chandra Photo Album

この画像は、「ステファンの五つ子」という名前で知られている銀河群を、X線と可視光で観測し撮影した画像を合成したものだ。青色がX線観測の画像を表しているが、これは600万度にも達する高温のガスの分布に対応している。

(ステファンの五つ子の可視光とX線による観測の合成画像)

ステファンの五つ子。青はチャンドラで観測した画像で、黄は可視光の画像(提供:X線:NASA/CXC/INAF-Brera/G.Trinchieri et al.、可視光:パロマー山天文台、DSS

ステファンの五つ子は、地球から2億8000万光年離れたペガスス座の方向にある銀河群である。この画像では4つしか銀河が写っておらず(右のものは2つである)、しかも左下の銀河は3500万光年とはるか手前にある銀河なので、一見すると五つ子には見えないが、より広範囲の画像では、確かに等距離に5つの銀河が集まっていることがわかる。

X線画像に見られる高温ガスは、画像の中央付近にある銀河が高速で移動して発生した衝撃波によって熱せられたものである。また、一部の高温ガスは、過去にこの集団を通過した別の銀河の影響で熱せられたものらしい。

ステファンの五つ子は、銀河群の中で銀河がどのように相互作用し進化するのかということや、相互作用によってガスや星にどのような影響があるのかといったことを研究するのにとても都合のよい天体だ。数十億年後には、五つ子たちは一つの楕円銀河になってしまうと考えられている。