ハッブルが観測した、いっかくじゅう座の特異変光星 V838 Mon

【2003年3月28日 HubbleSite - NewsCenter

昨年1月に発見されたいっかくじゅう座の特異変光星 V838 Monの周りに美しいシェル(球殻状)構造が形成されているようすを、ハッブル宇宙望遠鏡が撮影し、その画像が公開された。

(V838 Monの周りに広がる構造の写真。時期を変えて4枚写されている)

V838 Monの写真。それぞれ、(左上)昨年5月、(右上)9月、(左下)10月、(右下)12月、に撮影(提供:NASA, ESA and H.E. Bond (STScI))

V838 Monは2月にアウトバースト(突発的な増光)を起こし、太陽の60万倍も明るくなったが、その後再び減光している。周りに広がっているのは以前のアウトバーストで星から放出されたチリの層で、そのチリに2月のアウトバーストで放射された光が反射して光っている。写真では層が広がっているように見えるがこれは見かけ上の現象で、実際は時間の経過につれて光がより遠くまで到達し、中心の星から遠いところで反射した光が見えているのだ。

V838 Monのアウトバーストは普通の新星のようなものとは異なった現象と考えられている。現在の見かけの大きさは木星の2倍ほどだが、さらに外側の光が届くようになればもっと大きく見えることになるだろう。シェルの細かい構造や三次元的な広がりなど、ハッブル宇宙望遠鏡による今後の観測が楽しみである。