銀河から吹くスーパーウィンドが作り上げたフィラメント構造

【2003年2月24日 Chandra Photo Album

X線観測衛星チャンドラとハッブル宇宙望遠鏡によって観測された渦巻き銀河NGC3079の画像が公開された。銀河の中心付近に見られるフィラメント状の構造がひじょうに印象的だ。

(NGC3079の画像)

渦巻き銀河NGC3079。チャンドラが撮影したX線放射は青で表されている。赤と緑はハッブル宇宙望遠鏡が撮影した可視光の画像(提供:NASA/CXC/U.North Carolina/G.Cecil)

NGC3079はおおぐま座にある銀河で、地球からはおよそ5500万光年離れている。画像に見られる馬蹄型をしたフィラメント状の構造は銀河の中心近くにあるが、この構造は1万度程度のガスと1000万度程度のガスが混ざり合ってできている。

フィラメントは次のようにして形成されると考えられている。まず、銀河の中心から勢いよく吹き出したガス(スーパーウィンド、superwind)によって銀河円盤(ディスク)の冷たいガスが削られ空洞ができる。そして、空洞の壁面の一部ががさらにスーパーウィンドによって引き剥がされて長く伸ばされ、高温のフィラメントになるのだ。

このNGC3079に観測されるようなスーパーウィンドは、銀河中心の超巨大ブラックホールの活動によって発生するか、あるいは超新星爆発によって発生すると考えられている。スーパーウィンドは、星形成のようすを変化させたり銀河の外側まで重元素を広げたりして、銀河全体の進化に大きな影響を与えると考えられている。最新のチャンドラのデータによれば、天文学者たちは今まで銀河全体に対するスーパーウィンドの影響をかなり小さく見積もっていた可能性があるということで、今後の新しい観測やデータ解析が期待される。

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