偶然に撮影した小惑星と銀河のランデブー
【2003年1月9日 アストロアーツ】
銀河に小惑星が突入していくかのように見える面白い写真を送っていただいたので紹介しよう。
銀河NGC3628と小惑星(387)アクィタニア。下の時刻は0時45分、上は5時25分(撮影:中川義通さん)
この写真は、水戸市の中川義通さんが8日の早朝に撮影した、しし座の銀河NGC3628である。すぐ近くにM65、M66という銀河があり、よく天体写真の対象となる付近だ。その銀河の中心に向かって線が延びているのがご覧いただけるだろう。中川さんによると「撮影当日は2日連続徹夜のあとの3日目で、ほとんど朦朧とした意識の中での撮影であったために撮影時にはこの天体には気付かず、翌朝、画像処理の段階でコンポジットで重ならないので気が付いた」ということだ。
ステラナビゲータVer.6で登録されている小惑星をすべて表示させて調べたところ、小惑星(387)アクィタニア(Aquitania)が該当する小惑星ではないかということがわかった。ただし、発見されているすべての小惑星を登録しているわけではないので、他の小惑星や他の天体である可能性も否定はできない。フィルターを交換しながら長時間露出で銀河を撮影してコンポジットしたので、小惑星の移動が線となったというわけだ。
銀河も小惑星もともに数多く存在しているので、このような現象は実は頻繁に起こっているのかもしれないが、これほど見事に中心に向かっていくように見えるのはなかなか珍しいのではないだろうか。狙って撮影するのは難しいかもしれないが、ぜひ皆様も挑戦してみてほしい。
なお、写真のデータは以下のとおり:
- 撮影日時:
- 2003年1月8日 0時44分〜4時24分、露出 計200分
- (L画像)10分×2コマ + 15分×10コマ
- (R、G、B画像)5分×2コマ
- 撮影地:
- 茨城県水戸市
- 撮影機材等:
- Vixen R200SS(800mm F4.0)、R200SS用コマコレクター使用(合成F4.0)、IDAS LPS-P1 フィルター、Vixen GP-D赤道儀(D80mm f560mm ガイド鏡)とST-Vにて自動ガイド、BITRAN 冷却CCDカメラ BJ-41L(-18度に冷却)、IDAS Type III 三色分解フィルター(R、G、B画像は2×2ビニング)、StellaImage3とThe GIMPにて画像処理
- 補足:
- 移動している線が途切れて見えるところでRGB画像を撮影