近くの銀河に新しいタイプの天体が見つかった

【2002年4月10日 UCSC currents online

近くの銀河中の球状星団を探していた研究者たちが、まったく新しいタイプの天体を発見した。この天体は球状星団に似ているが、典型的な球状星団よりもずっと大きくて暗いようだ。

ハッブル宇宙望遠鏡のWFPC2カメラで撮影した銀河NGC 1023とその中に見つかった新しいタイプの星団(囲み左)。普通の球状星団(囲み右)に比べて暗くて広がっている(写真提供:S. Larsen / NASA)

新しいタイプの天体が見つかったのは、ペルセウス座にある銀河NGC 1023、しし座の銀河NGC 3384である。NGC 1023とNGC 3384はともにレンズ状銀河という分類に属する。レンズ状銀河は、渦巻き銀河と同様に円盤を持っているが渦巻き構造はなく、星の年齢などのさまざまな物理状態はむしろ楕円銀河に近い。新しいタイプの天体がレンズ状銀河だけに存在するのかどうかは今のところよくわかっていないが、少なくとも今回の場合は両方ともレンズ状銀河だということだ。

その新しいタイプの天体は、よく知られている「散開星団」と「球状星団」の中間の性質をもっている。星の年齢が古い点では球状星団に似ているが、球状星団よりも直径が3〜5倍も大きく、しかも暗い。そして、散開星団と同じように銀河の円盤部分に分布しているのだ。

ケック望遠鏡を使った分光観測により、この新種の天体が銀河の円盤と同じように回転しているように見えることもわかった。この天体の正体は一体なんだろうか?そして、どのようにして形成されたのだろうか?一説によれば、NGC 1023と他の小さな銀河が相互作用した際にできたのかもしれないということだ。レンズ状銀河との関連性も含めて、今後の観測と解析が待たれる。

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