宇都宮さん、自身3つ目となる新彗星を発見

【2002年3月22日 アストロアーツ】

超新星、彗星など、2002年になってから日本人による新天体の発見が相次いでいる。彗星では2月1日に発見された「池谷・張彗星(C/2002 C1)」、3月12日の「スナイダー・村上彗星(C/2002 E2)」があるが、さらにもうひとつ新彗星が加わることになった。

(宇都宮彗星 C/2002 F1の写真)

宇都宮彗星 C/2002 F1。CCD光度10等、コマの視直径2分角。クリックで拡大(撮影:アストロアーツ 門田健一)

熊本県の宇都宮章吾氏は日本時間3月19日5時ごろ、15cm25倍の双眼鏡で、東の地平線上に昇ったばかりのペガスス座(こうま座との境界付近)に、10等の彗星状天体を発見した。翌20日早朝、宇都宮氏は北東方向へ移動している同天体を確認し、中野主一氏を通じてIAU(国際天文連合)に報告された。この天体は追跡観測によって新彗星と確認され、C/2002 F1の符号がつけられた。

宇都宮彗星は、その後の観測で9等級、10分角ほどの長さの尾がとらえられている(写真参照)。4月の宇都宮彗星は、増光しながらペガスス座からアンドロメダ座へと進む。ただし、日の出前の地平高度は低くなる一方で、4月下旬の近日点通過を境に、夕方の北西天へと移る。このころの明るさは6等級になっていると予想されるが、日没60分後の高度は4月末でも10度に満たない。

宇都宮氏は過去に宇都宮彗星(C/1997 T1)、宇都宮・ジョーンズ彗星(C/2000 W1)を発見しており、今回は三つめの彗星発見となった。また、同氏は2001年にエドガー・ウィルソン賞(アマチュアの彗星発見者にのみ贈られる国際的な賞。1998年制定)を日本人として初めて受賞している。

MPEC 2002-F39で発表された暫定軌道要素と位置推算表は以下のとおり:
概略星図はこちら。世界時0時の位置。図中の恒星は6.5等まで表示)

宇都宮彗星(C/2002 F1)の暫定軌道要素
近日点通過2002年4月23.460日
近日点距離0.45854AU
離心率1.0
近日点引数124.093度(J2000.0)
昇交点黄経288.167度(J2000.0)
軌道傾斜角78.800度(J2000.0)
世界時0時(日本時9時)における位置推算表(2000.0年分点)
月日赤経赤緯
3/1721h37.90m+03°55.9'
3/2221h56.99m+08°05.2'
3/2722h19.71m+12°46.6'
4/0122h47.43m+17°56.4'
4/0623h21.94m+23°19.4'
4/1100h05.09m+28°21.1'
4/1600h57.29m+32°03.6'
4/2101h55.05m+33°23.0'
4/2602h50.75m+31°56.4'
5/0103h37.91m+28°25.2'