チャンドラが X 線で観測した銀河 NGC4636
【2001年12月25日 Marshall Space Flight Center News Releases】
NASA の X 線観測天文台、チャンドラ衛星による楕円銀河 NGC4636 の画像には、ガスが中心の大質量ブラックホールに落ち込んで引き起こされたと思われる大爆発のあとが写されていた。
この銀河は地球からおよそ 5,000 万光年ほど離れたおとめ座の方向にある。上下方向の腕は長さが約 25,000 光年、温度はおよそ 1 千万度で、銀河を取り囲んでいる数百万度の巨大なガス雲へと伸びている。腕の対称性や大きさ、それに周りとの温度差から、どうやら銀河の中心で発生した激しい爆発を観測しているのだろうと考えられている。この爆発の規模は超新星爆発数十万回分に匹敵するほどだ。
通常、こういった銀河の爆発を観測すると強い電波源が見つかるのだが、この銀河の場合には見つかっていない。その原因として、まだ電波源が活動を始める段階まで達していないことが考えられる。銀河内の高温ガスは数百万年かけて冷え、中心のブラックホールへと落ちていく。ブラックホールは太って爆発を起こし、そのフィードバックされたエネルギーによって周りのガスが熱せられる。銀河はこういった循環を繰り返しているようだ。今回の NGC4636 の場合は、その循環の早い段階を見ているので、電波源が活動を始めていないというわけである。