ユリシーズなど 3 つの衛星によるガンマ線バーストの検出

【2001年12月20日 ESA News

ユリシーズ、マーズ・オデッセイ、そしてベッポサックス。主目的の異なる 3 つの衛星が 1 つのガンマ線バースト現象を検出した。

(ガンマ線バーストの起こったところを可視光で撮影した画像)

ユリシーズ、マーズ・オデッセイ、ベッポサックスの 3 衛星が見つけたガンマ線バースト GRB011121 の残光。写真はセロ・トロロ(Cerro Tololo)・アメリカ天文台の 4m 望遠鏡で撮影(写真提供:M.Brown, R.Schommer, K.Olsen, B.Jannuzi, A.Dey (NOAO), A.Fruchter, J.Rhoads (STSci), AURA / NSF)

今回検出されたのは、11 月 21 日にカメレオン座で起こったガンマ線バースト(以下 GRB)である。3 つの衛星を使って観測することで三角測量の原理を使って位置を正確に測ることができるので、その位置をチリにある VLT(The Very Large Telescope)で観測したのだ。その結果そこに GRB 現象の残光が見え、この GRB は 40 億光年離れたところで起こったものであることがわかった。40 億光年という距離はこれまで見つかった GRB の中でもっとも近いものである。

GRB 現象が初めて観測されたのは 1960 年代だったが、その残光を見ることができるようになったのは 1997 年になってからであった。これは、GRB の継続時間が長くても 1000 秒程度しかないためである。GRB 現象そのものは 1 分間に 1 回くらいの頻度で宇宙のどこかで起こっていると考えられている。その正体には様々な説があるが、例えば高速回転している大質量星が重力崩壊してブラックホールになる時に GRB 現象が起こるという説がある。

ユリシーズはもともとは太陽や太陽大気を観測するための衛星で、太陽の極周回軌道を回っている。太陽観測の一方で、GRB 現象を検出して地上の大型望遠鏡にその位置を伝える役目も果たしており、1990 年の打ち上げ以降数千もの GRB 現象をとらえてきたが、そのうち地上の望遠鏡で残光まで見えたのはほんの 30 ほどにしかすぎない。ユリシーズがとらえた 2000 年 1月 31 日の GRB 現象はこれまででもっとも遠くで起こった現象である。なお、マーズ・オデッセイは NASA の火星探査衛星で、現在は火星周回軌道にある。また、ベッポサックスはイタリアとオランダの X 線観測衛星で、地球を周回している。

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