「見えないものを見て」
ダークマターの分布を突き止めた

【2001年12月13日 AAO Press Releases

エディンバラ大学の Alan Heavens 博士ら 30 人からなる研究グループは、2dF 銀河赤方偏移掃天観測のデータから、宇宙の大規模構造の中でダークマターは銀河と同じように分布していることを明らかにした。

(2dF 観測から得られた銀河分布の図)

2dF 銀河赤方偏移掃天観測から得られた銀河の分布の図。中心から外に行くほど遠い銀河。円弧に沿った方向は赤経方向に対応。クリックで拡大(図提供:Matthew Colless (ANU) et al, 2dF Galaxy redshift survey)

この観測はアングロ・オーストラリア天文台の望遠鏡を使っておこなわれている。これまでにおよそ 21 万個もの銀河を含むカタログが得られたが、この数は望遠鏡が一度に最大 400 個の銀河の三次元的な位置を測定することができる能力によるところが大きい。(2dF = 2 degree field、視野角が 2 度の意味。)また、新しい解析手法のおかげで、光って見える銀河だけでなくダークマターの分布も調べられるようになった。

こうして得られた結果により、宇宙の大規模構造においては銀河もダークマターも同じように分布していることがわかったのだ。20 年もの間、銀河の分布がダークマターの分布と一致しているのかどうか意見が分かれていたが、今回の解析結果でこの問題に決着がついた。同時に、銀河がどこでどのように形成されるのかということに関する理論に大きな制約が課されたことになる。

さらに、この観測結果の解析からダークマターがどのくらいの量存在しているかもわかる。それによるとダークマターの量は通常の(光って見える)物質の 7 倍くらい存在するということだが、それでも宇宙膨張を減速させるために必要な量の 4 分の 1 にしかすぎない。