いて座新星2001

【2001年3月1日 国立天文台天文ニュース (420)

「いて座」に7.7等の新星が発見されました。

チリ、ビニャ・デル・マール市のリラー(Liller,W.)は、2月24日に撮影した写真から、「いて座」に7.7等の明るさの新星を発見しました。新星の位置は「いて座」の西の端近いところで、散光星雲M8(ラグーン星雲)のやや南にあたります。これは21世紀になって最初の新星発見で、新星の呼び名は「Nova Sagittarii 2001(いて座新星2001)」になりました。

この新星の精密位置は、

赤経  17時54分40.46秒
赤緯 −26゚ 14' 15.2" (2000.0)

と測定されています。

17h 54m 40.46s, -26゚ 14' 15.2" (J2000.0)
チリのLillerが発見したいて座の新星らしき天体

26日未明のいて座新星
2月26日未明のいて座新星(門田健一氏撮影)

リラーは、対物プリズムを使ってこの新星のスペクトル写真を撮影し、明るいHアルファの輝線と、487.9および504.3ナノメートルのところに幅の広い輝帯を認めています。

また、美星天文台の綾仁一哉(あやにかずや)さんたちは、1.01メートル望遠鏡により低分散の分光観測をおこない、Hアルファ、Hベータの輝線と、784ナノメートル付近の輝帯を検出しています。一般に新星の光度が落ち始める時期には、爆発で吹き飛ばされ、膨張していく殻から、水素のバルマー線などの輝線がしばしば出現します。観測で報告されている輝線は、それに相当するものと思われます。

なお、リラーが発見した新星は非常に多く、1981年以降の20年間に21個を独立に発見し、今回が22個目と思われます。

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