天の川銀河中心部の広域詳細画像

【2000年12月21日 ケンブリッジ大学・キャベンディッシュ研究室・天体物理学グループ ニュース (2000.12.19)

ケンブリッジ大学とハワイ共同天文学センター (Joint Astronomy Centre; JAC) のグループが主導する国際研究チームが、天の川銀河中心部の広域詳細画像を公開した。チームによると、今回の観測は、これまでで最も高感度かつ広域なものであるという。

SCUBA/JCMTがとらえたサブミリ波による銀河中心部

この画像は、銀河中心に複雑に広がる星間分子雲の姿を描き出している。星間分子雲は、冷たいガスとダストが濃く集まっている領域で、新しい恒星が誕生する揺りかごである。この画像からは、星間分子雲が濃い部分だけではなく、星間分子雲どうしをつなぐ複雑なフィラメント状の構造も見て取れる。また、位置が標されている「Sagittarius A*」は、銀河中心の巨大ブラックホールであると考えられている電波源である。

チームでは、サブミリ波観測装置としては最高感度を誇るハワイの口径15メートルのジェームズ・クラーク・マックスウェル電波望遠鏡 (JCMT) の「SCUBA (Sub-millimetre Common User Bolometer Array)」を用い、長い期間をかけてこの画像を得た。観測期間中、天候はとても乾燥して晴れ渡っており、ここ10年間以上の間でも最高のコンディションであったという。

SCUBAは、高感度ではあるが、視野が狭く、銀河面のように広域に渡る対象を観測するには時間がかかる。観測にかかった期間は2年以上で、そのうち観測に用いた日数は15夜。ただ、現在設計段階にあるSCUBA-2は広視野化が図られており、同じ観測を30分以内でこなす能力があるという。SCUBA-2が完成すれば、銀河面全体をサーベイ観測することも可能となるそうだ。

この研究の詳細は、『Astrophysical Journal Letters』誌の12月20日発行号で発表される。

画像提供: ケンブリッジ大学・キャベンディッシュ研究室・天体物理学グループ