[しし群速報] アッシャー論文またも的中 日本では大火球

【2000年11月19日 アストロアーツ】

※時間は全て日本時間

日本においてしし座流星群が最も多く流れると期待された11月17日〜18日は、はじめ全国的に天候がおもわしくなかったものの、幸い18日未明までにはわりあい多くの地域で天候が回復したようだ。続く18日〜19日は、広い範囲で快晴に恵まれた。

観測結果は、18日未明は1時間あたり30個程度 (午前4時台)、19日未明は18日未明よりやや少ない程度と、残念ながら低調な結果に終わったようだ。

海外の状況であるが、国際流星機構(IMO)の速報 (3rd update) によると、まず17日15時45分から17時30分にかけて小規模なピークが観測された。これは、17時10分ごろが極大と考えられ、そのときのZHR[*]は105程度であった。イギリスのデイビット・アッシャー博士らは、いわゆるアッシャー論文において17日16時53分ごろに小さなピークがあると予報しており、この結果はアッシャー博士らの予報とほぼ一致するといえる。

海外の話を続ける。同じくIMOの速報によると、18日午前10時30分ごろから14時ごろにかけ、ZHRが200を超える比較的規模の大きな出現があったようだ。極大は12時44分ごろで、そのときのZHRは300近い。続けて18日14時ごろから17時30分ごろにかけ、今回のしし座流星群では最大のピークが観測された。極大は16時15分ごろで、そのときのZHRはおよそ450であった。アッシャー論文は18日12時44分ごろおよび18日16時51分ごろに比較的規模の大きな出現があると予報しており、これもほぼ的中している。

アッシャー博士は、1999年のヨーロッパにおけるしし座流星群の大出現をピタリと予報したことで注目されたが、結局2000年も1999年に引き続きピタリと的中させてしまった。アッシャー博士の理論の信憑性はいよいよ高まったといえるだろう。そのアッシャー博士は、2001年のしし座流星群は日本付近で1時間あたり1万個以上の流星嵐になると予報している。今から楽しみである。

さて、再び日本における結果に戻る。日本では全体的な出現数こそは少なかったものの、19日午前3時35分頃 (日本時間) にはフラッシュを伴なう大火球 (しし群関連のもの) が出現、その跡には永続流星痕が現われた。

東京都小金井市にてそのようすを目撃したアストロアーツのスタッフによると、火球は北の空、北極星と北斗七星の間に出現。残念ながら視野の端であったため火球本体の明るさなどはよくわからなかったが、流星痕はあの百武彗星をもほうふつさせるような見事なもので、すぐに双眼鏡 (口径50mm, 倍率7倍のもの) を向けると、視野に収まりきらないほど長大な稲妻状の輝きが、拡散しながら蛇行し淡くなっていくようすがはっきりと観察でき、とても美しかったということだ。そして、この永続痕は双眼鏡で約5分間にわたって見えつづけたという。

2001年の大流星雨の可能性に胸を躍らせる日本の天文ファンにとって、大きなプレゼントとなった。

*ZHR 天頂修正一時間平均出現数。観測された流星数を理想的な条件下での流星数に補正したもの。