美星スペースガードセンターが最大級の地球接近小惑星を発見

【2000年11月7日 日本スペースガード協会・プレスリリース】

地球に接近する天体や人工衛星・スペースデブリの観測を行っている「美星スペースガードセンター」では、地球軌道と交差する小惑星の中では2番目に大きい天体となる小惑星を発見した。国際天文学連合の機関である小惑星中央局では、10月29日、この小惑星に「2000 UV13」という仮符号を付与した。


発見直後に捉えた小惑星 2000 UV13
明るさは16.7等で、わずかに左側(東の方向)へ移動。
2000 UV13
撮影者/門田健一 撮影地/埼玉県上尾市
撮影機材/18cmF5.5反射望遠鏡+冷却CCDカメラ

2000年10月22日午前5時過ぎ(日本時)に、日本スペースガード協会が岡山県美星町の美星スペースガードセンター(日本宇宙フォーラム所有)の望遠鏡により小惑星の検出観測をしているときに、北斗七星のすぐそばでこの天体を発見した。発見時の明るさは17等で、天球上を1日あたり0.7度くらい移動している。その後の観測により、その軌道が地球軌道の内側まで入り込むアポロ型と呼ばれる小惑星であることが分かった。また、絶対等級が13.5等と推定されているが、これは地球に接近する天体としては異例と言えるほど明るいものである。小惑星の表面の反射率が不明なため正確な大きさは分からないが、この絶対等級からは直径が5kmから12kmの間と推定されている。これは、地球軌道と交差する小惑星の中では2番目に大きいものとなる。また、NEAと呼ばれる地球接近小惑星(現在では1150個余りが確認)の中でも、7番目の大きさとなる。

現在までの観測から求められている軌道によると、この小惑星は地球軌道に0.07天文単位(約1050万km)程度まで近づく。この距離は、PHA(Potentially Hazardous Asteroids)と呼ばれる要注意の小惑星にかなり近いものである。地球に接近するのは2001年1月であるが、このときの地球との接近距離は0.6天文単位(約9000万km)ほどであり、地球に衝突する危険はない。ただし、今後の観測によって、さらに軌道を正確に決定する必要がある。

地球に接近する小惑星については、その直径が5km程度以上のものはすべて発見されていると言われていたが、今回の発見によってこのサイズの小惑星でもまだ発見されていないものがあることが分かった。ちなみに、今回発見された小惑星は、6500万年前に地球に衝突して恐竜を含めて多くの生物種を滅ぼしたと言われている天体と同程度の大きさである。

注:美星スペースガードセンターは、宇宙開発事業団(NASDA)、財団法人 日本宇宙フォーラム(JSF)、NPO法人 日本スペースガード協会(JSGA)が協力して運用しているものである。

この記事についての連絡先:

 ・NPO法人 日本スペースガード協会 事務局
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          日本スペースガード協会
    TEL/FAX:0422-30-7650  e-mail:spacegd@cc.rim.or.jp

 ・吉川 真(日本スペースガード協会 副理事長/宇宙科学研究所 助教授)
    〒229-8510 神奈川県相模原市由野台3-1-1
          宇宙科学研究所
    TEL/FAX:042-759-8341  e-mail:makoto@pub.isas.ac.jp
  ※電話で連絡が取れない場合には、吉川まで電子メールをお送り下さい。

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