J.T.B.ショー2000速報

【2000年6月24日 アストロアーツ・JTBショー2000取材班】

20世紀最後の開催となるJ.T.B.ショー2000が開催された。J.T.B.とは、Japan Telescopes & Binoculars の略。ようするに、日本の望遠鏡や双眼鏡メーカーが一同に会しての年に一度の展示会なのだ。望遠鏡・双眼鏡のメーカーや望遠鏡ショップが展示ブースを設けて、注目の新製品などを披露する。普段は聞くことのできないメーカーの技術者へ直接質問できたり講演会を聞いたりできる。初日の今日6月24日土曜日は、小雨交じりのあいにくの天気にもかかわらず、約3000人(推定)の天文ファン・バードウオッチャーが集まり、熱心に新製品や参考出品に見入っていた。

JTBショー受付 JTBショー会場
JTBショー2000の受付 会場には多くの天文ファンが訪れた

アストロアーツでも、ニュース用のデジカメ取材、例年のビデオカメラでのJTBショーレポート取材、銀塩でのスカイウオッチャー取材と3班に分かれて各ブースを巡った。ここでは、会場で見つけた新製品や、参考出品を紹介しよう。

より詳しくは、8月5日発売の「スカイウオッチャー9月号」にて記事を掲載するとともに、「JTBショー2000ビデオレポート」を今年も製作する予定だ。

注目の新製品&参考出品
ミード ETX60

●ミード(ミックインターナショナル)
 
経緯台式の60mm屈折のDS−60EC、115mm反射のDS−115ECなど、コストパフォーマンスに優れた米ミード社の新製品を次々と国内に投入し、望遠鏡ショップのみならず、カメラ店・ディスカウントストア系販売店まで販路を広げているミックインターナショナルのブース。
 
次は、近日発売の参考出品。一見ETX90ECに見えるが、筒が細い!。なんと口径60mmF5.5屈折が搭載されている。高倍率では色収差が目立ちそうだが、これで実販価格5〜6万円あたりか? 架台部も新型になり、駆動部・電源が一体型となって内部でコードが巻き取られること無く、何周でも周るようになった。

ネクスター8 80ED

●セレストロン(タスコジャパン)
 
タスコジャパンは、米セレストロン社の望遠鏡の国内販売を手がけている。口径20cmのシュミットカセグレンC8鏡筒を載せたネクスター8は、堅牢な方持ちフォークと流麗なデザインで人気のネクスター5(口径12.5cmC5搭載)の上位モデル。定価36万円だが、7月いっぱいは発売記念として専用三脚がセットされる。
 
小型CCDカメラも参考出品。本体にフィルターターレットが内蔵されているので、いろいろ遊べそうだ。電源は内蔵電池・外部バッテリーのどちらも使える。

TEMMA TEMMA−PC

●タカハシ
 
タカハシの自動導入システム“TEMMA”が“TEMMA−PC”となった。ベースはEM200赤道儀だが、従来品と違うところは、制御回路を赤道儀本体に内蔵し、コンピュータが必須となったこと。ノートPC(12万相当)を別途購入しても従来品と総計価格(57〜58万円)が変わらないという。操作が煩雑になりがちなハンドコントローラーを廃し、星図表示とキー入力をコンピュータに任せることにより、より扱いやすくなった。制御ソフトはいまのところ、タカハシ純正のテレスコープトレーサー2000のみだが、アストロアーツでは、ステラナビゲータも対応させるべく準備中。

105SDP 80ED

●ペンタックス
 
ペンタックスの最高級屈折鏡筒125・150SDP、に続いて、105mmもついにSDP化(参考出品)。赤外から可視光まで写真・眼視用に妥協無き星像を示すSDP光学系だけに値段が気になるところだが、125・150SDPよりは求めやすい価格になるという。冷却CCDカメラ用の広写野撮影にも活躍しそうだ。
 
もうひとつの注目新製品はスポッティングスコープのPF−80ED。最大の特徴は、接眼鏡に同社のXLシリーズなどのアメリカンサイズアイピースがそのまま使えるということ。しかも防水で、コンパクト。定価は11万8,000円。口径8cmEDアポクロマート“正立”望遠鏡と考えれば安い!?

VMC200L ニュートン復刻

●ビクセン
 
一見同社のバイザックVC−200Lのように見えるが、これは参考出品のVMC−200L(口径20cmF9.7)。主鏡・副鏡とも球面で、副鏡直前にメニスカスコレクターレンズを置き球面収差を補正している。開放鏡筒でシュミットカセグレンより温度馴染みが早く、しかもC8鏡筒より少し安く供給できるという。
 
ビクセンのブースにあった時代物のニュートン反射は、そのもの、アイザック・ニュートンが創ったニュートン反射のレプリカ(ガラス鏡・木製架台)。製品化は未定だが、マニアの部屋のインテリアに1台あっても良いかも……。ちゃんと見えるのだ。

BT−200

●ビットラン
 
新製品のBT200コントローラはBJシリーズのカメラヘッドがオートガイダーとして使え、USBポート対応、専用PCIインターフェイスボードでの高速転送など魅力的スペック満載。カメラヘッドは、600万画素・35mmフィルムサイズCCDチップ搭載のカメラヘッド(コントローラとのセットで200万円前後)をはじめ9種類が用意されている。
 

アポジー

●光燿/松下光学
 
国内ではアドサイエンス社が扱う米アポジー社の冷却CCDカメラが、光燿/松下光学のブースに展示されていた。裏面受光CCDチップを搭載し、量子効率約90%と高感度なのが特徴。

SAO−FM600 ペンタ67改造

●正一インターナショナル@韓国
 
正一インターナショナルは、望遠鏡などを扱う韓国の商社。昨年に続き2回目の出展だが、今年は、韓国で造られた大型フォーク式赤道儀を展示していた。左写真ではC14を搭載しているが、60センチカセグレンまで搭載OKという。韓国国内だけでなく日本やアメリカに輸出したいということだ。
 
もうひとつ面白いモノを見つけた。ペンタックス67のボディ下部にある電池ボックスを利用して、小さなプリズムを付け、ボディ内オフアクシスガイダーとしている。これは韓国の天体写真家の自作。なんとも大胆な発想だが、かなり実用的。電池は使えなくなるが無電源改造しているので、Bは問題ない。

テクノスタビ

●富士写真光機
 
フジノンの防振双眼鏡テクノスタビ14×40のスケルトンモデル。内部が透けて見えるので構造が良く分かる(もちろん展示用だが、こんなモノを見られるのもJTBショーならでは)。ポロプリズムがジンバル構造によって吊られていて、振動をセンサーが捉え、ぶれ量をリアルタイムに計算し、プリズムをダイレクトモーターによって制御することで像を安定させる。


なお、JTBショーは6月25日(日曜日)も開催されている。会場等の案内は 6月1日のニュース参照。25日の午後5時まで。

●今年の出展会社は以下●
旭光学工業株式会社
アストロ光学工業株式会社
宇治天体精機
鎌倉光機株式会社
協栄産業株式会社
株式会社ケンコー
株式会社タスコジャパン
興和株式会社
株式会社高橋製作所
中央光学工業
株式会社ニコン

日本シイベルヘグナー株式会社
株式会社ビクセン
ビットラン株式会社
富士写真光機株式会社
三鷹光器株式会社
株式会社ミックインターナショナル
ミノルタ株式会社
大塚光学株式会社
株式会社テクノ・プロデュース
松下光学株式会社
財団法人日本望遠鏡検査・技術協会
財団法人日本野鳥の会

関連リンク (社)日本望遠鏡工業会 TEL:03-5398-1687