小惑星探査機NEAR、小惑星エロスからのX線放射を観測 (NASA)

【2000年3月15日 NASA Space Science News (2000/3/13)

小惑星探査機NEARが小惑星エロスを周回する人工衛星となってから1ヶ月が経つ。この間、レーザー測離器による初の形状測定や、初の小惑星のX線観測などを含む重要な成果が得られている。

初のX線観測が可能となったのは、3月2日の大きな太陽フレアのおかげである。このときNEARはエロスから212kmであり、これはNEARのX線分光器の設計上の測定限界距離の4倍にあたるのだが、この大きなフレアに伴う太陽のX線バーストの影響でエロスにX線放射が発生したため、これを観測することができた。この観測により、マグネシウム、鉄、シリコン(珪素)などの存在が明らかになり、またアルミニウムやカルシウムが存在する可能性があることもわかった。

NEARは現在エロスの中心から200kmほどの軌道を周回しており、この軌道に4月1日まで留まる。その後は再び短いエンジン噴射を行い、中心から100kmの軌道に徐々に入る予定。今後もNEARの活躍に期待したい。