LE-7 海洋底にて執念の発見

【1999年12月24日】

11月15日に打ち上げに失敗し落下した、宇宙開発事業団のH−IIロケット8号機の機体部分、ならびに第1段メインエンジン“LE-7”が、24日夕刻、太平洋の海洋底より発見された。

これは、海洋科学技術センターの深海曳航体(ディープ・トウ)を用いた、“H-IIロケット8号機第1段ロケットの2次調査”により見つかったもの。発見地点は、小笠原諸島の北西約380kmの北緯29度21.16分、東経139度29.78分、水深2,917mの海洋底であった。
 ディープ・トウは20日からサイドスキャンソナーにて曳航調査を開始し、22日にはH-IIロケットの機体の一部と思われるものを発見していた。それ以後も周囲の調査が続けられ、24日15時50分、ディープ・トウ搭載のTVカメラにより、水深約3000mの海洋底に沈むLE-7が確認された。

まさに、“大海にばらまかれた砂粒をひろう”かのように思われた今回の捜索であるが、打ち上げから39日後に、見事LE-7を見つけだせたことは驚嘆に値する。まさに、軌道計算と海洋探査技術による、LE-7執念の発見と言えよう。
 今回の打ち上げ失敗の原因究明のカギとなるLE-7が見つかった意義は大きい。今回の打ち上げ失敗の教訓が、今後打ち上げられるH-IIAシリーズに活かされることに期待したい。

また、H−IIロケット8号機によって打ち上げられる予定だった気象衛星“ひまわり5号”後継機、運輸多目的衛星(MTSAT)は、2002年に再度打ち上げられることになった。打ち上げは、国内優先だが海外も検討しているとのこと。現行のひまわり5号は、それまで燃料を節約しながら運行されつづける予定だ。

参考: 「H-IIロケット8号機」の第1段ロケットの再調査(2次調査)について
- おしらせ 最新情報宇宙開発事業団
  「H−IIロケット8号機」の第1段ロケットの再調査(2次調査)について
- プレスリリース海洋科学技術センター

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