メシエ61に出現した超新星1999gn

【1999年12月20日 VSOLJニュース(030)】

6月8日付けのVSOLJニュース(018)で、メシエ88に超新星1999clが出現したことをお知らせしました。 110番まであるメシエ天体のなかには銀河は40個弱しかなく、ひとつの銀河当たりに出現する超新星はせいぜい100年に1から2個程度とされているため、メシエ天体の超新星は毎年1個あるかないかくらいのものです。 ところが、今年は当たり年なのか、2例目のメシエ天体超新星が発見されました。

IAUC 7335に報じられたところによると、イタリアのアマチュア天文家Alessandro Dimaiさんが、12月17.219日(世界時)に撮影したおとめ座の銀河メシエ61のCCD画像から、16.0等の新天体を発見しました。 リック天文台の自動撮像望遠鏡KAITによって翌日確認(15.5等と明るくなっていました)され、位置が測定されています。 赤経12時21分57.02秒、赤緯+4度27分45.6秒(2000年分点)で、銀河の中心から東32秒、南40秒ほどの位置にあたります。 この銀河はface-onの開いた渦巻を持つもの(Sbc型)で、この超新星は東側の腕に乗っています。 母銀河のHII領域や星団、手前の星が数多くあるので、どの星が超新星か見究めるには注意が必要です。 発見画像がhttp://www.supernovae.net/isn.htmで見られますので参考になるでしょう。

SN 1999gn
超新星1999gnの発見位置

メシエ61は、おそらくおとめ座銀河団に含まれる銀河で、距離は15Mpcほどと推定されます。 この銀河には、今世紀内に3つの超新星が発見されています。 II型の超新星1926A、特異なII型の超新星1961I、そしてI型の超新星1964Fです。 いずれも13等から14等級まで明るくなっています。 今回の超新星1999gnはまだスペクトルが取られておらずタイプはわかっていませんが、12等級くらいまで明るくなる可能性もあり、今後の注目が必要です。

SN 1999gn
KenIchi Kadota
Dec. 20, 1999 01:44:17 JST (60 sec)
Ageo City, Saitama Pref., Japan
0.18-m f/5.5 reflector + CCD (MUTOH CV-16II)