肉眼新星わし座新星1999No.2の発見

【1999年12月2日 VSOLJニュース(027)】

aql1999 NO.2

千村雄一氏によるわし座新星1999
(δ星と新星の間の光は人工光)

新星は近接連星系中の白色矮星に降り積もったガスが爆発的に核融合反応を起こし、星の表面を吹き飛ばす現象です (新星は新しい星の誕生ではなく、近接連星の進化の後期に起きる現象です)。 新星は我々の銀河系で年に数個発見されていますが、肉眼で見えるほどに明るくなる新星はかなりまれな現象です。 北半球からよく見ることができた肉眼新星では1992年のはくちょう座新星(Nova Cyg 1992 = V1974 Cyg)が4等星に達しました。

今年は5月22日にほ座に肉眼新星が発見され(VSOLJニュース 17)、観測史上十指に入る明るさに達しました。 この新星は残念ながら北半球では観測が困難でしたが、IAUC 7323によれば、ポルトガルのAlfredo Pereiraは、12月1.785日(世界時)、わし座に6.0等星の新星を発見しました。 その後の観測から、新星はさらに光度を増しつつあり、12月2.208日(世界時)には4.9等と報告されています(Dahle, vsnet-obs 24971)。

本日(12月2日)日本時間の夕刻には空の良いところでは肉眼でまだ増光途中の新星を確認することができると思います。 また、新星の減光速度によりますが、今後しばらくの間は夕方の空に肉眼ないし双眼鏡で認めることができるでしょう。

Aql 1999 NO.2
わし座新星1999 No.2の発見位置

天体の位置は

19h 23m 05s.38  (J2000.0)
+04゚ 57' 20".1

と発表されており、わし座δの北1゚強の探しやすい場所にあります。 IAUC、VSNETにこれまで報告された光度は以下の通りです。

Reported magnitudes:

1999 Dec.1.785UT6.0(A. Pereira, IAUC 7323)
1.8135.8(A. Pereira, IAUC 7323)
1.8195.9(C. Vitorino, IAUC 7323)
1.8425.8(C. Vitorino, IAUC 7323)
1.8435.8(A. Pereira, IAUC 7323)
1.9395.1(D. E. Green, IAUC 7323)
1.955.2 CCD unfiltered (D. di Cicco)
2.075.03V(B. Skiff, vsnet-alert 3759)
2.075.43b(B. Skiff, vsnet-alert 3759)
2.2084.9(H. Dahle, vsnet-obs 24971)

爆発前の新星の位置には、16等程度の星が存在していたことが指摘されており、平均的な新星の爆発振幅を考えると、この新星は最近の新星の中でも相当明るい等級に達するのではないかと期待されます。

VSNETでは以下のページを用意しました。 10等級までの新星周辺の比較星や、リアルタイム光度曲線が掲載される予定です。

http://www.kusastro.kyoto-u.ac.jp/vsnet/Novae/naql99-2.html