天然の花火、ペルセウス座流星群

【1999年8月5日 国立天文台天文ニュース(281)】

8月12日から13日にかけてペルセウス座流星群の活動が極大を迎えます。

「ペルセウス座流星群」という名前から流れ星がペルセウス座だけに流れると誤解されている人がいます。 実際には、ペルセウス座の中の一点を中心として放射状に流星が出現するためこの名前がついています。 流れ星はペルセウス座だけに流れるのではありませんので、できるだけ空を広く見渡せるところをポイントに、見る場所を選ばれることをお勧めします。 また、空が暗い場所のほうがさらによいでしょう。

8月12日夜23時の北東の空(東京)
8月12日夜23時の北東の空(東京)

流星の流れた経路を逆に辿っていくと一点を通ります。 この点を放射点(または輻射点)と言い、星座絵に当てはめるとペルセウスのかざす剣の柄のあたりにあります。 星座早見盤や星図などでペルセウス座の星の並びと放射点を確認しておくと、流れ星を見たときに、その流れ星がペルセウス座流星群に属しているかそうでないかを判別することができます。

ペルセウス座は一般には秋の星座に分類されます。 秋の日の入り後の遅くない時刻に見られる星座だからですが、今の時期のペルセウス座は夜半に東の空に昇ってきます。 ペルセウス座流星群はペルセウス座が昇ってくる23時以降くらいから出現がはじまり、翌朝まで続きます。 ペルセウス座流星群は昔から定常的に活発な出現を見せてくれています。 活動の期間は7月下旬から8月20日頃までとされていますが、そのうち活動のピークは12日から13日にかけての夜で、特に多くの流星を見ることができます。

夏休みという時期でもあり、学校の天文クラブの合宿での観測対象として多くの天文ファンを魅了している天文現象といってもいいでしょう。 活動が夜半過ぎということもあり、小さいお子さんには少々つらいかもしれませんが、親御さんと一緒に天然の流星花火を楽しまれてはいかがでしょうか。

流れ星は、宇宙空間を漂っている塵が地球大気に飛び込み、発光する現象です。 ペルセウス座流星群では、スイフト・タットル彗星と呼ばれる周期彗星(太陽の周りを比較的短い周期で回っている彗星)が、その軌道上に撒き散らした塵が流星の元となっていることが判っています。 年に一回地球が彗星の軌道を横切るこの時期に、ペルセウス座流星群が活発に活動するというわけです。

昨年、11月に社会現象にまでなった「しし座流星群」ですが、今年も出現する可能性があります。 しし座流星群を見る前哨戦としてペルセウス座流星群をご覧になるのはいかがでしょう。

参考:理科年表
天文年鑑
天文雑誌各誌