子持ち銀河に輝く多くのX線連星

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【2014年6月5日 NASA

X線天文衛星「チャンドラ」が、子持ち銀河M51でまぶしく輝く複数のX線源をとらえた。その多くはX線連星で、伴星から物質が中性子星やブラックホールへと落ち込み熱されて高温になり、X線で輝いて見えているものだ。


チャンドラによるX線観測データとHSTによる観測データとを重ね合わせたM51銀河の画像

子持ち銀河M51。チャンドラによるX線観測データ(紫の擬似カラー)とHSTによる可視光観測データ(赤、緑、青)とを重ね合わせて作られた。クリックで拡大(提供: X-ray: NASA/CXC/Wesleyan Univ./R.Kilgard, et al; Optical: NASA/STScI)

「子持ち銀河」の愛称を持つりょうけん座のM51は、地球から約3000万光年の距離にある銀河だ。わたしたちの天の川銀河同様、大きな腕を持つ渦巻銀河で、銀河面がちょうど地球の方向を向いているためその腕や銀河面がよく見える。わたしたちが決して見ることのできない天の川銀河の姿を見せてくれている天体といってもよいだろう。

そのM51に存在する複数のX線源を、NASAの観測衛星「チャンドラ」がとらえた。画像中、紫で示されているのがチャンドラのX線観測データ、赤、緑、青で示されているのがハッブル宇宙望遠鏡(HST)による可視光観測データだ。広範囲に広がっているX線放射の多くは、大質量星が起こす超新星爆発によって高温になったガスである。

まぶしく輝いているX線源のほとんどはX線連星だ。中性子星やブラックホールといったコンパクトな天体に伴星から物質が引き込こまれ、数百万度もの高温となってX線で輝いているのである。チャンドラがM51に観測した約400個のX線源のうち少なくとも10個の連星にはブラックホールが存在しており、うち8個ではブラックホールが太陽よりずっと大きな伴星から物質を取り込んでいるらしいことが示されている。

M51は小さな伴銀河(画像上)との合体途中にあり、その影響で星形成が引き起こされていると考えられている。新たに生まれた星のうち大質量のものは数百万年のうちに進化して崩壊し、中性子星やブラックホールとなる。M51で、ブラックホールが存在するX線連星のほとんどが星形成領域に近い場所に位置していることから、銀河同士の合体との関連性が伺える。