対照的な銀河、NGC 1316とNGC 1317

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【2014年4月4日 ヨーロッパ南天天文台

NGC 1316とNGC 1317、2つの銀河をとらえた画像が公開された。ひじょうに接近している2つの銀河だが、経てきた進化の歴史は大きく異なる。


NGC 1316とNGC 1317

南天のろ座の方向6000万光年彼方にあるNGC 1316は、「ろ座A」とも呼ばれ、全天で4番目に強い電波源でもある。その強い放射は超巨大ブラックホールの中心へと落ち込む物質によるもので、おそらく他の銀河との相互作用によってもそのエネルギーが供給されてきたようだ。クリックで拡大(提供:ESO)

南米チリのヨーロッパ南天天文台(ESO)ラ・シーヤ観測所のMPG/ESO 2.2m望遠鏡による画像には、2つの対照的な銀河「NGC 1316」と「NGC 1317」の姿がとらえられている。

NGC 1316とその隣の小さな銀河NGC 1317はひじょうに接近しているが、その進化の歴史は異なる。小さな渦巻銀河NGC 1317は、大きな変化のない過程を送ってきた。しかし、NGC 1316は、複数の銀河を巻き込む荒々しい歴史を経てきており、その傷跡が残っている。

たとえばその証拠として、NGC 1316の構造には、通常とは異なる複数の暗い塵の帯が見えている。これは、約30億年前に塵の豊富な渦巻銀河が飲み込まれたためではないかと考えられている。

また銀河の周囲には、星やガスが細長い尾のように伸びているようすも見られる。これは、星やガスが元の銀河から引き裂かれ、銀河間空間に放り出されたものだ。

これらの特徴は、他の銀河がひじょうに近くまで接近した際、星の軌道に対して複雑な重力効果が働いて作られたものであり、NGC 1316と他の銀河との合体という激しい進化の歴史を物語っており、破壊的な様相はまだ続いているようだ。

〈参照〉

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