ガイアが試験観測、若い星団の画像を公開

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【2014年2月10日 ヨーロッパ宇宙機関

昨年12月に打ち上げられた天体位置測定衛星「ガイア」がとらえた試験画像が公開された。写っているのは、大マゼラン雲中に存在する密集した若い星団NGC 1818だ。


NGC 1818の画像

NGC 1818。クリックで拡大(提供:ESA/DPAC/Airbus DS)

ヨーロッパ宇宙機関(ESA)の天体位置測定衛星「ガイア」は、昨年12月19日に打ち上げられ、地球から150万kmの距離にある観測ポイントのL2点(太陽から見て地球の背後にある重力安定点)の周りを周回している。ガイアの調整は順調に進んでおり、今後動作と性能の確認作業が控えている。

公開された試験画像は大マゼラン雲に存在する若い星団NGC 1818をとらえたもので、機器調整作業の一環で撮影されたものだ。科学的な目的を最大限に達成するために、ガイアの主たる観測動作モードでは地球に画像全体を送らないことになっているので、このように広い範囲(とはいえガイアの持つ全視野の1%にも満たない領域)をとらえたものとしては最後の数枚のうちの1つとなる。

ガイアが目指すのは、天の川銀河内に存在する約1000億個の星のうち1%にあたる約10億個の星の、個々の動きと位置を計測することにある。データを分析・カタログ化することで、これまででもっとも正確な天の川銀河の地図が作成され、天の川銀河の起源と進化のなぞに迫る研究に役立てられることになる。

ガイアは今後数か月かけて、望遠鏡の位置合わせやピント調整を行う。その後、6か月で10億個の星を観測し、さらにそれぞれの星の位置を平均70回観測して星のわずかな動きをとらえ、星までの距離や運動を測る。また、星の明るさや表面温度、化学組成なども調べることになっている。

観測期間は5年間で、データは最終的には100万ギガバイトを超えるとのことだ。DVDにすると約20万枚に相当する膨大なボリュームで、最終的なカタログ公開は観測終了から3年後の予定である。