山梨県立科学館が詩を募集 谷川俊太郎さん絵本でプラネ番組に

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【2012年2月10日 山梨県立科学館

山梨県立科学館が詩を募集中だ。採用された作品は、今年4月から上映されるプラネタリウム番組「Memories〜ほしにむすばれて」の中で紹介される。


《あなたの詩と谷川俊太郎さん絵本でプラネタリウム番組を》

企画紹介/林 公代さん

冬は、星が綺麗に見える季節。寒さをこらえて少しの時間星空を見上げれば、様々な想いや遠い記憶が浮かび上がってくるはず。山梨県立科学館では「あなたが感じる星への想い、宇宙のドラマを詩にして送って下さい」と募集中。4月から上映するプラネタリウム場組であなたの詩が紹介されるかも! 締め切りは2月14日

プラネタリウム番組は「Memories〜ほしにむすばれて」。えびなみつるさんの絵と谷川俊太郎さんの文章で、星に魅せられた家族三代の物語を描いた絵本「ほしにむすばれて」をベースに、たくさんの人々の星や宇宙への想いを紡いでいこうと、広く参加を呼びかけている。谷川俊太郎さんも「星をテーマにした皆さんの詩と、私たちの絵本がプラネタリウムの空間でどのように溶け合うのか、とても楽しみです」とメッセージを寄せる。しかも番組では谷川さんと手島葵さんが詩を朗読するという、とても贅沢な企画だ。

企画したのは同科学館・学芸員の高橋真理子さんだ。2007年にリレー形式で詞をつなぎ、全国から集まった2690の言葉を結晶化させた宇宙連詩山梨版「星つむぎの歌」の立役者でもある(歌は宇宙の土井隆雄さんに届けられた)。高橋さんに今回の企画意図を聞いたところ、3つのキーワードが浮かび上がった。「星の力」「言葉の力」「プラネタリウムの力」だ。人は昔から星を見上げ、宇宙の中で命がつながり自分が存在していることを無意識に感じてきた。そうした自分の心の奥底にあり気づかずにいる星の体験や想いを掘り起こして言葉にし、共有することで「意味合いがものすごく深くなる」と高橋さんは言う。

高橋さんは「プラネタリウムワークショップ」や「星の語り部」など創造的な活動を展開し、色々な人をつないできた。例えば目の見えない人も活動に参加している。星への想いを語り合う過程で、遠かった星の世界が身近にイメージできるようになり、全盲の方がこんな詩を書いたという。「今夜ぼくは散歩にでる/星はでているだろうか/そう思うだけで心が温かくなる」。考えてみれば目が見える人にとっても宇宙のほとんどは見えていない。「互いに大きな気づきがあった」と高橋さんは言う。自分を表現し、それが他者に受け入れられることで人間は生きていける。そんな表現の場としてプラネタリウムは最適だ。「閉鎖された空間で星の世界に完全に入り込めるという意味で、圧倒的な力がある。」だからこそプラネタリウム番組作りに参加して欲しいと呼びかける。

詩は「Memories〜ほしにむすばれて」の公式サイトから応募できる。「詩は手段。まずは星を見上げて欲しい。なにかしら思い出すことがあるから」(高橋さん)。詩が採用された人には番組の招待券と絵本「ほしにむすばれて」が贈られる。また採用されなかった作品もウェブサイトで公開することを検討中とのこと。

高橋さんは「まだ早いかもしれないけれど」と前置きした上で、震災の日の満天の星について、被災地にいた人たちの想いを言葉にしてもらえればという願いを持つ。被災した友人から「星空を見たときに『私は生きている!』と涙が流れた」という体験談を聞いたり、新聞の投書欄に寄せられた震災の日の星空体験を見たりして「本質的な星の力」を感じた。悲しい記憶、恐ろしい記憶が星空体験と結びつく人もいると思うが、もし言語化する段階になっているのであれば、前に進む力になるかもしれないと考えている。

宇宙や星空は、研究や探査の対象だけでなく、私たちみなに等しく力を与えてくれるもの。さらに星をきっかけに人とつながろうというこの企画、あなたも参加してみませんか。

企画の詳細、応募は「Memories〜ほしにむすばれて」公式サイトから。締め切りは2月14日(火)

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