小惑星探査機「ドーン」低高度軌道に移行完了 最新の成果を紹介

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【2011年12月13日 NASA (1)(2)

小惑星ベスタを周回観測中の探査機「ドーン」が12月12日、最も地表に近づく低高度マッピング軌道への移行に成功したと発表された。また「ドーン」の鉱物マップが作成・公開された。


軌道移行時に撮影されたベスタの表面

11月28日、「ドーン」の軌道移行時に撮影されたベスタの表面の画像。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech )

8月に小惑星ベスタの科学観測を開始した探査機「ドーン」は、「概観観測軌道」(survey orbit)、「高高度マッピング軌道」(HAMO)での観測を終え、最もベスタに近づく「低高度マッピング軌道」(LAMO)に移行することに成功した。

「低高度マッピング軌道」(LAMO)では平均高度210kmの軌道を取り、最短でも10週間にわたる観測を行う予定となっている。低い軌道であるため、ベスタ表面のより高解像度な画像が取得できる。さらに、「ガンマ線・中性子検出器」(GRaND)を用いて表面の元素組成を測定したり、重力検出器を用いてベスタの重力場を調べたりして、ベスタの内部構造を探査することが初期目標となっている。


「高高度マッピング軌道」(HAMO)での観測成果

ベスタ表面の鉱物分布

ベスタの南半球を可視光線から赤外線で撮影した際に、波長別に色分けをして作成された図。中心部分が黒いのは太陽の位置の都合上、撮影できなかった領域。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech/UCLA/MPS/DLR/IDA)

「高高度マッピング軌道」(HAMO)の成果として、表面のカラフルな画像が公開された(画像2枚目)。これはベスタの南半球を可視光線、赤外線で撮影し、人工的に色付けをして作成されたものだ。

これらの色の違いは鉄に富んだ輝石の存在や、表面で急速に固まったもの、内部でゆっくり固まったものの混合度合いを示していると考えられる。また相対的な鉱物の分布の違い(色の違い)がベスタの地形とよく似ており、天体衝突などによって内部が掘り返された結果であることを示唆している。

「ベスタには鉄のコアがあるために球形をしており、他の小惑星と比較してより地球に似た天体だと言える。場所によって組成の多様性や層が見えるのは、ベスタの地殻、マントル、コアが分化した後、すぐに内部が溶けることで形成されたことを示している」とドーン副主任研究員のCarol Raymond氏は語っている。

ドーンは2012年7月にはベスタを離れ、次の目的地である準惑星ケレスへと向かうことになっている。