サイズも位置も地球に近い系外惑星を確認

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

【2011年12月6日 NASA

系外惑星探査衛星「ケプラー」の観測から、主星からの距離や大きさが地球に似た惑星が発見・確認された。2009年の打ち上げ以来、長周期の惑星を観測する十分な期間が経ったことも手伝って、地球サイズの惑星と思われる天体の数は急増している。


ケプラー22と太陽系のハビタブルゾーンと惑星の位置

系外惑星ケプラー22bは、主星ケプラー22からちょうどよい距離のハビタブルゾーン内(画像上、緑色の部分)に位置している。下は、太陽系とそのハビタブルゾーンを比較のために表示。クリックで拡大(提供:NASA/Ames/JPL-Caltech)

NASAの系外惑星探査衛星「ケプラー」で、ハビタブルゾーン(注1)にある惑星が初めて発見・確認された。「ケプラー22b」と名付けられたこの惑星の直径は地球の2.4倍ほどで、太陽に似た星のハビタブルゾーンを回る系外惑星としてはこれまででもっとも小さい。地球のような岩石惑星か木星のようなガス惑星かといったことはわかっていないが、地球に似た惑星を見つけるための大きな一歩といえる。

ハビタブルゾーン内にある地球サイズと思われる惑星はこれまでにも見つかっていたが、はっきりとした確認はできていなかった。太陽より小型で低温の恒星を回る惑星として、ハビタブルゾーンのぎりぎり端にあるものは2つ見つかっている。これらは太陽系でいうと金星や火星のような距離だ。

「ケプラー」ミッションでは、地球から見て惑星が恒星の手前を横切る時に恒星がわずかに減光する現象から惑星の存在を感知するという方法で、15万個もの星を対象に探査を行っている。3回以上の減光の観測で、惑星の存在の可能性ありと見なされる。

「ケプラー22b」の発見には幸運も手伝ったようだ。最初の減光観測は、ケプラーの観測準備が整った3日後だったし、3回目の減光は、2010年の休暇シーズンの最中だった。

ケプラーの観測により「系外惑星では」と疑われるものは、地上の望遠鏡や赤外線天文衛星「スピッツァー」の観測により確認が行われる。春〜初秋には、はくちょう座とこと座方向にあるケプラーの観測領域を見ることができる地上望遠鏡がその役目を担う。

600光年先にあるケプラー22は太陽と同じスペクトル型がG(注2)の恒星で、その周りを惑星bが290日周期で回っている。2011年2月に54個見つかったハビタブルゾーン内の系外惑星候補から確認が完了した最初のものだ。

「ケプラー」サイエンスチームは12月5日〜9日の学会で、2009年〜2010年の観測で新たに発見された1094個の系外惑星候補について発表する。新たに発見されたもののうち、地球の数倍以下の質量のものは200個以上で、これは今までに見つかったものの1.4倍もの数だ。

ケプラーはその観測初期のころは、恒星からの距離が近い大型の惑星を多く観測したが、打ち上げから2年経ち、長周期の惑星が3周する時間が経過したためにこれらの発見が可能になった。これにより、地球の1〜4倍の惑星がこの銀河には多数存在することが示されている。

現在ハビタブルゾーンに見つかっている系外惑星候補は48個で、以前に発表された54個から数のうえでは減っているが、これは金星の地表で起きているような温室効果を考慮して「ハビタブルゾーン」の定義をより厳密にしたためだ。

「地球サイズの惑星候補が大幅に増えたことで、ケプラーが本来目標とする、地球程度の質量でなおかつ主星からの距離がちょうどいい天体に照準が合ってきました。データが多ければ多いほど、さらに理想的な惑星が見つかるチャンスも増えるでしょう」(ケプラーサイエンスチームのNatalie Batalha氏)。

注1:「ハビタブルゾーン」 ある恒星から、液体の水が存在しうる距離のエリア。たとえば、地球は太陽のハビタブルゾーンにある。

注2:「星のスペクトル分類」 星から届く光の成分を調べることにより、質量が重く明るい方からO、B、A、F、G、K、Mなどのスペクトルタイプに分ける。


ステラナビゲータで系外惑星の位置を表示

ステラナビゲータでは、580個を超える「惑星の存在が確認された恒星」を追加天体として「コンテンツ・ライブラリ」で公開しており、ケプラー22(中心星)が存在する方向を星図に表示できます。ステラナビゲータをご利用の方は、ステラナビゲータの「コンテンツ・ライブラリ」からファイルをダウンロードしてください。