世界最大面積のCMOSセンサーで10等相当の流星の高視野動画撮影に成功

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【2011年9月28日 キヤノン株式会社

東京大学木曽観測所にある口径105cmのシュミット望遠鏡とキヤノンが新たに開発した超高感度CMOSセンサーを利用することで、これまで観測例の少なかった10等程度の流星の動画を撮影することに成功した。この方法を利用すると、流星観測やスペースデブリなどの検出に役立てられると考えられる。


木曽観測所のシュミット望遠鏡

木曽観測所のシュミット望遠鏡。クリックで拡大(提供:東京大学 天文学教育研究センター 木曽観測所)

夜空で一瞬だけ輝き、消える流れ星。流れ星は彗星などから放出された塵が地球大気に飛び込むことで光り輝いており、空の暗い場所では肉眼でも1時間に10個程度の流れ星を見ることができる。

しかし流れ星はどこを流れるかわからず、また暗いものも多い。このため動画として流れ星を撮影することは難しく、これまでの観測技術では7等よりも暗い流れ星の動画撮影は報告例があまり多くなかった。

今回、キヤノンが新開発したCMOSセンサーと、木曽観測所の口径105cmのシュミット望遠鏡を使って、わずか1分間の動画から10等の流れ星を複数撮影することに成功した。このCMOSセンサーは世界最大の面積を持ち、満月の月明かりの中でも動画撮影が可能という超高感度なものだ。

これまで10等という暗い流れ星は年間10個程度しか報告されていなかったが、この動画には年間報告例を超える数のものが捉えられていた。

今回の観測の解析を進めることで、流星が地球に及ぼした影響について何かわかるかもしれない。また非常に暗い移動天体を観測することができるため、スペースデブリの検出のほか、小惑星や彗星といった太陽系内の移動天体の検出数や精度を向上させることができると考えられる。