NASA長官、これからの宇宙プログラムについて語る

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【2011年7月5日 NASA

7月1日に行われた会見で、NASAのボールデン長官がアメリカ宇宙戦略の今後の展望を語った。スペースシャトルの終わりはNASAの終わりでもNASAの有人宇宙活動の終わりでもないとし、有人活動や技術開発、科学探査のしっかりとしたプログラムがあると語っている。


スピーチの内容は以下の通り。

有人探査

地上テスト用の多目的輸送船

地上テスト用の多目的輸送船。クリックで拡大(提供:ロッキード・マーティン社)

火星有人探査を長期的な目標として、太陽系の有人探査の技術開発を進めている。オライオンカプセルをベースとして、4人のクルーが21日間のミッションを行うことができる多目的宇宙船(Multi-Pupose Crew Vehicle)を開発する。

多重量の積載物を地球低軌道に載せる打ち上げシステムがどのようなものかについて、もうすぐ発表を行う。太陽光発電による電気推進や軌道上での燃料補給ステーション、宇宙放射線からの保護、信頼性の高い安全な生命維持システムなど、有人探査に必要な技術を培っているところである。

国際宇宙ステーション

国際宇宙ステーションの全景

国際宇宙ステーションの全景。クリックで拡大(提供:NASA)

最大6人の長期滞在が可能な国際宇宙ステーション(ISS)は、地球低軌道における有人活動の要となるものだ。今後もアメリカはスタッフを24時間、365日常駐させ続ける。米実験棟などは「国立研究所」として利用され、NASAは科学研究のためにこの利用に関与している。

国際宇宙ステーションは宇宙船への燃料補給や生命維持システムの改良、人間とロボットのインターフェイスの改良などの技術開発の良い試験場である。私企業が物資やクルーを国際宇宙ステーションへと運ぶ役割を果たすことで、NASAは太陽系へ踏み出すための次のステップへと注力することができる。

惑星探査

木星探査機「ジュノー」と木星

木星探査機「ジュノー」と木星のイメージ図。クリックで拡大(提供:NASA)

NASAには地球、太陽系、そして宇宙を理解するための探査計画が多く控えている。今後の探査計画の流れは以下の通り。

7月16日:「ドーン」ベスタに到着
小惑星探査機「ドーン」が最初の目的地である「ベスタ」に到着し、8月からおよそ1年におよぶ探査を開始する予定である。この探査によって太陽系初期の様子を解明する手がかりが得られることが期待されている。
8月:木星探査機「ジュノー」打ち上げ
木星の起源や構造、大気を探る探査機「ジュノー」の打ち上げが予定されている。
9月:地球観測衛星「NPP」打ち上げ
次世代の地球観測衛星システム構築の第一歩となる、地球の極軌道を取る衛星(NPP)の打ち上げが予定されている。
10月:月探査衛星「グレイル」打ち上げ
月の重力場を測定するための衛星「グレイル」の打ち上げが予定されている。
11月:火星探査車「キュリオシティー」打ち上げ
火星の微生物の証拠を探るためのローバー「キュリオシティー」の打ち上げが予定されている。
2012年2月:X線宇宙望遠鏡「NuSTAR」打ち上げ
ブラックホール探査や超新星の地図の作成、活動銀河の研究を目的としたX線宇宙望遠鏡「NuSTAR」の打ち上げが予定されている。