赤外線天文衛星「あかり」に電力異常

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【2011年5月25日 JAXA

赤外線天文衛星「あかり」が、バッテリ蓄電量の低下により、地球の昼側にある時間帯しか電力供給ができない状態に陥っている。2006年に打ち上げられ、目標寿命の3年を超えての運用が行われてきた。


(「あかり」のイラスト)

赤外線天文衛星「あかり」(提供:JAXA)

5月24日午前5時30分頃(日本時間、以下同)、ISASの赤外線天文衛星「あかり」(ASTRO-F)が、バッテリの蓄電量の低下により軽負荷モード(機能を最低限維持するための節電モード)に移行し、搭載観測機器、Xバンド送信機の電源がオフ状態となっていることが内之浦局(鹿児島)での受信データにより判明した。

蓄電量が低下した「あかり」は、日陰に入り衛星への電力供給が断たれた後、日照により初期状態(電源オフ状態から立ち上げたときの初期設定状態)に移行したことが同日午前11時20分に確認された。現在は、太陽電池パドルによる電力発生のある時間帯のみ衛星への電力供給がなされている状態となっている。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)では、今回の事象の原因調査を進めるとともに、必要な対策を講じていくとのことだ。

2006年2月22日に打ち上げられた「あかり」は、星の材料となる低温のダスト(塵)などが放射する赤外線を観測する衛星である。要求寿命1年、目標寿命3年を超えて運用中で、観測データから全天の赤外線天体カタログが作成されるなど、多くの功績を挙げている。