逆行する系外惑星の謎に迫る

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【2011年5月16日 ノースウェスタン大学

太陽以外の恒星の周りを回る系外惑星の中に、中心星に対して逆行運動をしているものが見つかっている。何故このようなことになっているのか理由はわかっていなかったが、シミュレーションによって逆行運動を再現することに成功した。


(主星の前を横切るホットジュピターのイメージ図)

主星の前を横切るホットジュピターのイメージ図(提供:Lynette Cook)

1995年に初めて太陽系外の惑星が発見されて以降、現在までに500個以上の系外惑星が発見されている。系外惑星の中には恒星のすぐ近くを非常に短い公転周期で回る高温の大型惑星「ホットジュピター」をはじめ、太陽系では考えられないような惑星が存在していることがわかっている。そのような変わった系外惑星の1つに、恒星に対して逆行するものがある。

惑星は原始星の自転方向と同じ向きに回転する原始惑星系円盤の中で形成されるため、主星の自転方向と惑星の公転方向は一致(順行)しているのが通常で、太陽系でも全ての惑星でそれが成り立っている。しかし一部のホットジュピターでは主星の自転方向と反対向きに公転するものが発見されており、なぜこのようなことが起きるのかはよくわかっていなかった。

米ノースウェスタン大学のFrederic A. Rasio氏らは、コンピューターシミュレーションによって逆行するホットジュピターを再現することに成功した。初期条件として、太陽と同じくらいの質量を持つ恒星と、2つの順行する惑星を仮定した。

内側の惑星は木星のような巨大ガス惑星で、恒星からやや離れた位置に配置された。ホットジュピターはまず恒星から離れたところで形成されると考えられているためだ。外側の惑星も同じような巨大ガス惑星で、内側の惑星に重力的な影響を与えられる程度の場所に配置した。

この条件で惑星を公転させ長い時間が経つと、2つの惑星が互いに影響を与えて軌道に変化が生じる。内側の惑星は針のように細くいびつな楕円軌道を取り始め、その後エネルギーを失って恒星のごく近くを回るようになる。このように軌道が変化する過程で、公転の方向が順行から逆行へと変化したことが確認された。

しかし全てのホットジュピターが逆行しているわけではなく、逆行するホットジュピターを作るモデルと順行するホットジュピターを作るモデルの両方の構築が望まれている。これまで太陽系がごく普通の惑星系だと信じられてきたが、それが本当なのか確認されるまではまだしばらくかかりそうだ。


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