NASA、惑星探査の中心ミッション候補3つを発表

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【2011年5月10日 NASA

NASAは将来の惑星探査ミッションにおけるキーミッションの候補3つを発表した。2012年にこの中から1つを選び、2016年打ち上げを目標に開発が進められる予定である。


今回発表されたミッション計画は「火星の内部探査」「タイタンの海の探査」「彗星の核表面の探査」の3つである。2010年に新しいディスカバリー計画(注1)として候補の募集が行われ、今回この3つのミッションが選ばれた。それぞれのミッションに300万ドルの予算が与えられ、ミッションコンセプトの具体化や検証を行った後、2012年にこの中から1つ選ばれて4億3500万ドルの予算が与えられる予定となっている。

火星の内部探査を行うミッションは「Geophysical Monitoring Station(GEMS)」(地球物理モニターステーション)と呼ばれており、火星の内部構造と組成の探査を行うことで、地球型惑星の形成や進化の理解を深めることが目的である。

タイタンの海の探査を行うミッションは「Titan Mare Explorer(TiME)」と呼ばれており、タイタンに着陸、またはメタンあるいはエタンの海に着水することで、地球外の海の直接探査を行うことが目的である。

彗星の核表面の探査は「Comet Hopper」と呼ばれており、彗星表面に何度も着陸することによって、彗星が太陽からどのような影響を受けているのかを調べ、彗星の進化を研究することが目的となっている。

また今回、これとは独立して3つの技術開発提案を選び出した。それは主に地球近傍天体(NEO)のカタログに載る天体数を増やし、よくわかっていないNEOsの理解を深めることが目的となっている。

1つ目は「Primitive Material Explorer(PriME)」と呼ばれ、質量分析計を用いて彗星の化学組成や地球に多くの揮発性物質をもたらしていると考えられるNEOsの役割を解明する目的を持っている。

2つ目は「Whipple:Reaching into the Outer Solar System」(注2)という計画で、木星以遠の太陽系外縁部に存在する小天体を掩蔽を利用して発見し、外縁部の構造をより正確に理解することが狙いとなっている。

3つ目は「NEOCam」と呼ばれる望遠鏡で、NEOの起源や進化を調べることと地球にNEOが衝突するリスクの計算を目的としている。これによってNEOのカタログを拡張することができ、また赤外線による正確な観測によって小天体の理解が深まると期待されている。

注1:「ディスカバリープログラム」 1992年から始まった、科学目標に特化したミッションのシリーズ。メッセンジャーやドーン、ディープインパクト、スターダストなどの探査機を含め全部で11個の計画がある。

注2:「Whipple」 アメリカの天文学者Fred Whippleに由来すると思われる。