活動銀河の中心核が光るわけは? 有力説に反論

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【2011年1月6日 Hubble Space Telescope

ドイツの研究機関を中心としたチームが、活動銀河核の発生メカニズムについて現在有力とされる「銀河同士の衝突による活発化」説に異を唱える研究結果を発表した。10人の「銀河鑑定人」達の画像判定によるものだ。


(サーベイ観測による銀河の画像)

調査対象となった銀河は、ろくぶんぎ座のサーベイ観測画像からピックアップされた。「衝突銀河」とそうでない銀河、見分けられますか? 答えはクリックで拡大(提供:NASA, ESA, M. Cisternas (Max-Planck Institute for Astronomy))

活動銀河核(AGN)とは、銀河の中心にある巨大ブラックホールが物質を激しく吸い込むことにより、その付近からエネルギーが放出されて明るく光る天体のことだ。その発生機構について現在有力視されているのが、「銀河同士の衝突により銀河内のガスがかき混ぜられて活発化するため」という説だが、それに反して「銀河の衝突は活動銀河核が生まれる主要原因ではない」とする研究結果が発表された。

これはドイツのマックス・プランク研究所を中心とした多国籍の研究チームによるもので、以下のような調査を行ったという。

  1. およそ140個の活動銀河の画像をピックアップし、光っている中心核の部分を隠した上で、1200個の非活動銀河の画像とまぜる(画像参照)
  2. 8機関に所属する10人の専門家が画像を目で確認し、衝突を経験した銀河かそうでないかを判定する。衝突を経験した銀河はゆがんだ形状をしている

この結果、衝突銀河であることと活動銀河であることの確率的な因果関係は見られず、調査対象となった活動銀河のうち少なくとも75%が、衝突以外の違うメカニズムによって生まれたと思われるということだ。その他の考えられるメカニズムとしては、棒渦巻銀河の中心の棒構造の崩壊や、巨大分子雲の衝突、あるいは他の銀河がそばをかすめる際の重力作用(「銀河ハラスメント」と呼ばれる)などが挙げられる。

この調査の対象となったのは今から80億年前までの銀河であるため、それ以上さかのぼった段階の銀河ではどのような結果になるかは今後の研究課題となっている。

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